「絶体絶命の中国経済」ー 石平氏 ー

先日の産経新聞の「石平のChina Watch」絶体絶命の中国経済より。

【中国の経済成長率は1.7%】

「中国の国家統計局が18日に発表した2019年7月〜9月期のGDPは前年同期比6.0%増で過去最低を更新した。もちろん、ここでの最低は実際の最低でもない。政府公表の18年の経済成長率は6.6%だったが、中国人民大学の向松蚱教授が明らかにしたところでは、この年の本当の成長率はわずか1.67%。だとすれば、今年7月〜9月期の本当の成長率は1%スレスレのところに落ちているはずだ。数十年間にわたった鳴り物入りの高度成長はほぼ終わったとみていい」。

【習近平政権の「民族の偉大なる復興」は夢のまた夢】

「経済の衰退に伴う社会危機の拡大はなおさらの大問題だ。貧富の格差が広がって国民の不平不満が募る中、そして2億6000万人の出稼ぎ労働者がいる中で、経済のさらなる減速によって失業が拡大し、低所得層の収入水準がより一層落ちていくと、社会不安の拡大は避けられない」「それから、中国の進める国際戦略としての一帯一路構想やアジア支配のための軍事拡大戦略はすべて、経済成長という土台の上に成り立つものだ。この土台自体が崩れていくなら、習政権一枚看板の“民族の偉大なる復興”は夢のまた夢に終わる。今月1日に建国70年の華やかな記念式典を行なったばかりの中国は、経済・社会の危機に直面しているのだ。今後、下り坂をひたすら転落していく宿命にあるのだろうが、この巨大帝国の末日を見届けたい、と思う」。

共産党一党独裁を更に強めてもこの経済・社会の危機を解決することはできません。国民の自由と人権をいくら奪っても経済・社会の危機を解決することはできません。「巨大帝国の末日」を見るのみであります。解決への道はその逆であります。習近平政権に求められているのは、今までの共産党一党独裁を放棄し、自由と人権を尊重する社会を目指すことなのです。そうしてこそ偉大なる中国を建設することができるのです。