今、注目の共産主義について考える(127)。中国の「統一戦線工作」明るみに。

 統一戦線方式とは、古森義久氏によれば、

「ワシントンではいま中国に関して『統一戦線』という用語が頻繁に語られる。中国共産党の『統一戦線工作部』という意味である。本来、共産党が主敵を倒すために第三の勢力に正体をも隠して浸透し、連合組織を作ろうとする工作部門だった。『習近平政権は米国の対中態度を変えようと統一戦線方式を取り始めました。多様な組織を使い、米国の官民に多方向から働きかけるのです』」。と産経新聞に寄稿された『あめりかノート、古森義久』に記されています。

ところで、これまで中国の統一戦線の戦略はどのような成果を上げてきたのでしょうか。古森氏は、ワシントンのシンクタンク「ウイルソン・センター」が9月上旬に発表した学術研究報告書を次のように紹介しています。その学術研究の内容とは、

・「米国の主要大学は長年、中国政府工作員によって中国に関する教育や研究の自由を侵害され、学問の独立への深刻な脅威を受けてきた」。

・「中国政府の意を受けた在米中国外交官や留学生は事実上の工作員として、米国の大学に圧力をかけ、教科の内容などを変えさせてきた」。

・「各大学での中国の人権弾圧、台湾、チベット自治区、新疆ウイグル自治区などに関する講義や研究の内容に対して特に圧力をかけてきた」。

・「その工作は抗議、威嚇、報復、懐柔など多様で、米側大学への中国との交流打ち切りや、個々の学者への中国入国拒否などを武器として使う」。

という内容です。古森氏は、「こうした実態は実は前から知られてきた。だがそれが公式の調査報告として集大成されて発表されることが、これまでなら考えられなかったのだ。いまの米国の対中態度の歴史的な変化の反映だといえよう。さて、わが日本でのこのあたりの実情はどうだろうか」。

「最近のワシントンでは官と民、保守とリベラルを問わず、中国との対決がコンセサンスとなってきた。トランプ政権の強固な立場は昨年末に出た『国家安全保障戦略』で明示された。要するに中国は米国だけでなく米国主導の国際秩序の侵食を目指すから、断固抑えなばならないという骨子である。年来の対中関与政策の逆転だった」と述べています。

米国はギリギリの段階で対中政策を転換したようです。しかし、中国の野望を阻止するには、米国だけでなく日米の一層の協力関係構築が求められます。

 

 

 

今、注目の共産主義について考える(126)。バチカンは『暫定合意』。米国は中国の宗教弾圧を非難。

『中国、バチカンと暫定合意』(平成30年9月23日付産経新聞)

記事によれば、「法王庁のラジオ局『バチカン放送』は同日、暫定合意について『制度的対話への前向きなプロセスを促進し、中国のカトリック教会に貢献するよう希望する』とした声明を伝えた」。

と同時に同記事によると、“中国への譲歩”だとして懸念の意見もあると伝えています。

「カトリック界にも、対中譲歩への懸念は強い。香港教区の前最高指導者で名誉司教の陳日君・枢機卿は今年になって、記者会見などで『国家に隷属する教会など、もはやカトリック教会ではない』と発言。教会内ではタブーだった法王批判スレスレの抗議を行い、波紋を広げていた」という。

平成30年9月24日付産経新聞は『米  中国の宗教弾圧批判』との記事を掲載し、その中で、

「ポンペオ国務大臣は中国でキリスト教徒も教会の閉鎖や聖書の焼却といった弾圧の対象になっているし、『信仰が奪われている』と非難した」。また「(ポンペオ氏は)『数十万、あるいは数百万人のウイグル族がその意思に反していわゆる再教育収容所に収容され、政治的洗脳やひどい虐待に耐えている』と述べた」と伝えています。さらに「ペンス副大統領は『トランプ政権は、中国でのキリスト教徒、仏教徒、イスラム教徒に対する残虐な抑圧に対して遠慮なく意見を述べてきた』と語った」と伝えています。 

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