宮家邦彦のWorld Watch より「まず驚いたのは東京五輪開催に対する当地での評価の高さだった」

8月12日付産経新聞のオピニオン欄『宮家邦彦のWorld Watch』によれば、東京オリンピックに対する世界の評価は日本のメディア報道とは全く異なるようです。

本稿は10日未明のワシントンで書いている。17ヶ月ぶりの米国出張だが、まず驚いたのは東京五輪開催に対する当地での評価の高さだった。日本では有力紙社説が「五輪中止」を求め、海外メディアにも「酷評している」などと報じられたが、それは事実と違う。少なくとも当地ワシントンに関する限り、「良かった」「よくぞ開催した」といった声がほとんどで、多くの海外メディア報道も同様だった。内容を例示しよう。

▲日本の五輪主催は正しかった。新型ウイルスとの共存の可能性を勇敢に示した(米外交専門誌デイプロマット)

▲東京五輪はコロナに打ちのめされた人々への救いだ(英フィナンシャル・タイムズ紙)

▲東京2020の勝利はロジスティックスの勝利(米国で活躍するジャーナリストのファリード・ザカリア氏)

▲まだ東京五輪の中止を主張するのか。選手たちは日本の五輪主催に涙しているのに(フィリピンのメディア)

▲困難の中での五輪開催だったが、少なくとも日本は心からの感謝に値する(英タイムズ紙)

あのワシントン・ポスト紙でさえ「東京五輪には批判もあったが、その後少なくとも部分的には改善した」と報じた。少なくとも、五輪で新型コロナウイルス感染拡大などという批判はない。「海外メディアからは“ワースト・エバー”(史上最悪)」などと書いた日本語記事もあったが、調べて見たらネタ元はカナダ地方紙のコラムだった。これで海外メディアが「酷評」などと書くのは如何なものか。

 

カール・ルイス氏が寄せてくれた東京五輪への言葉が心に響く。

門田隆将さんのツイートで紹介されていました。心に響く言葉ですね。一部ですが分かち合いたいと思います。

《バトン失敗はつきもの》

日本は最初のバトンパスで失敗した。精密な技術を要するこの種目ではミスが時々起こる。日本選手は能力があり、素晴らしいシステムを磨いていたが、10回に2回は失敗するものだ。米国も予選落ちしたように、常に完璧にはいかない。選手たちは日本の皆さんの期待を、感じ過ぎたのかもしれない。今回は残念ながら、彼らの日じゃなかった。いよいよ大会は最終日を迎える。陸上では100㍍でのヤコブス優勝が衝撃だった。感動したのは男子走り幅跳びで同記録になったバルシム(カタール)とタンべリ(イタリア)が、順位決定戦を行わず金メダルを分け合ったこと。スポーツで見た、最も感動的な瞬間の一つになった。

《献身的な運営   感謝   世界一つに   実感》

それにしても日本はよくぞ大会を開催してくれた。このコロナ禍で、オリンピックを成功させられる国は世界にもほとんどない。多くの人が今大会の開催に反対したが、アスリートのために、最終的には、やり遂げようと決意してくれた。SNSなどで選手村の写真も毎日見たが、素晴らしいものばかりだった。無観客でも選手たちは、大会を開いてくれたことに感謝し、いいパフォーマンスを見せようと全力を尽くした。観客は失われたが、世界中の何十億という人々が、テレビを通じて同じ体験をすることができた。だからオリンピックは、戦争、平和、怒り、幸せなど、どんなことが起きても世界を一つにするのだと、改めて感じた。今大会のヒーローは日本の皆さんだ。大会成功のためにコロナ対策を怠らず、献身的な取り組みを通じ、この素晴らしい機会を世界中のアスリートたちに与えてくれた。本当に心から、感謝の気持ちを伝えたい。