アメリカで何が起きているのか?(17)。アメリカ社会に浸透するマルクス主義

いま米国で『アメリカのマルクス主義』(著者、マーク・レビン憲法学者、元レーガン政権の司法長官顧問)という本が話題になっている。「発売以来2ヶ月、アマゾンの書籍数部門で全米トップの売れ行きである」という。2021・10・3の産経新聞掲載記事、「古森義久あめりかノート『米国を否定するマルクス思考』」の要点をまとめてみました。全文を読んでいただければ幸いです。

・進歩派、民主的社会主義者、新左翼などという自称他称の米国の最近のリベラル派の思想はマルクス主義の教理に依拠するところ大。

・米国の民主党も含む左派の政策や理念は資本主義や市場経済を否定し、階級闘争や労働者独裁を目指すマルクス主義の教えを大幅に組み込んでいる。

・米国の政界、学会、教育界に「批判的人種理論(CRT)」が広がっている。CRTとは、米国の政治、経済、司法などの現状は根本的に黒人差別、白人至上主義の構造であり、過去の基本政策の逆転をも含めての国家の枠組み改変が必要だとする主張。ここにもマルクス主義の特徴がある。

・民主党が進める人種、性別、年齢、所得などの差を相互敵視するアイデンティティ(出自)政治はマルクス主義の階級闘争に通じる。

・米国の建国の歴史を黒人差別の理由だけで罪悪視し、白人を糾弾して、過去を否定する思考は米国自体への嫌悪を煽る。

・米国社会を抑圧する側とされる側だけに分け、所得の格差も個人の努力や才能を無視し、すべて国家の構造のせいにする主張もマルクス主義だ。

・米国のアカデミズム、ジャーナリズム、娯楽産業、スポーツ界の一部にまで広がってきた。

キリスト教文化のアメリカという認識は今や思い込みに過ぎないのだろうか?

IMG_8554

八木秀次氏『民主党政権以上の「悪夢」はたくさんだ、立民・共産の「野党連合政権」、従わない勢力に「力をもって取り締まる」弾圧の構図』

これは10月14日配信の夕刊フジの記事(八木秀次氏)です。ちょっと恐いタイトルですが、実際に野党連合政権(立民・共産政権)が誕生すれば八木氏が言われるように社会は一変します。重要な内容ですので紹介します。

共産党は、政権交代後に樹立される政権を「野党連合政権」と呼んでいる。「連立」ではなく「連合」。政権入りはせず、「限定的な閣外協力」にとどめるということらしい。一方、党の綱領では、他党と連立し、自らも政権入りする場合を「民主連合政権」と称している。

結局、「野党連合政権」も閣外協力にとどまらず、政権運営や政策にも関わることを視野に入れていると見る。実際、野党連合政権は、共産党の意向をうかがわないわけにはいかない。少なくとも忖度はする。実態は共産党との連立政権とそう変わらない。

その政権で中心となる立憲民主党は9月13日、政権を獲得した場合に取り組む政策の第2弾を発表した。「多様性を認め合い 『差別のない社会』へ」をテーマにしたものだ。「選択的夫婦別姓の早期実現」「LGBT平等法の制定」「同性婚を可能にする法制度の実現」などとともに、「あらゆる差別の解消を目指すとともに、差別を防止し、差別に対応するため国内人権機関を設置」が掲げられている。

小泉純一郎政権下で検討された「人権擁護法案」、民主党政権下では「人権救済機関設置法案」と呼んでいた。人権団体などが制定を求めていた。

しかし、内実は、国家機関が国民の言動を監視し、「差別」と糾弾し、「差別者」の社会的生命を奪う、極めて全体主義的傾向を持った法案だ。

もとより不当な差別はあってはならない。だが、これらの法案では「差別」の定義が曖昧で、政権の一存で差別とされる可能性があった。「保守派弾圧法」としての性格もある。

立憲民主党は「リベラル」を自称する。リベラルが全体主義と親和性が高いことは、米ノートルダム大学政治科学部のパトリック・j・デニーン教授が『リベラリズムはなぜ失敗したのか』(原書房、2019年)で指摘している。

実際、リベラルは自分たちの考えに反する人たちに不寛容だ。不寛容な姿勢で他人に寛容を求め、「多様性」を唱えながら統制社会を築こうとする。この「国内人権機関の設置」に典型的に示されている。

共産党の不破哲三前議長は1989年2月18日の衆院予算委員会で、「政権についた時にその共産党の入った政権なるが故に従わないという勢力が出た場合、そういう勢力が様々な暴挙に出た場合、それに対して黙っているわけにはいかない、そういうのは力をもってでも取り締まるのが当たり前だ」と発言している。

政権に従わない勢力に対し、「力をもって取り締まる=国家機関による弾圧を行う」ということなのだろう。

コロナ対策での自公政権への不満はあろう。だが、もう一つの選択肢は上記のような社会の到来だ。民主党政権以上の「悪夢」はたくさんだ。

全く同感です。