小池百合子東京都知事の『地方の自主性阻む税再配分』との主張に賛同します。共に頑張りましょう。

8月12日の産経新聞に小池百合子東京都知事の「女子の兵法、地方の自主性阻む税再配分」と題する主張が掲載されていました。この中で小池知事は、

「東京都は47都道府県の1つにすぎないが、首都として、日本の成長エンジンとして、ある時は国をリードし、ある時は道府県の先頭を切って新たなチャレンジをすることは重要であると考える」として、東京都の役割について言及しています。

その上で、

「だが、今その原動力がそがれようとしている」と懸念を表明しています。「国の『一極集中の是正』という掛け声のもとに、東京や大阪府などの税収が狙い撃ちにされているのだ」と国を批判しています。

これには誠に同感であります。大阪市もしかりで、従来の地方税が国税に変更され、大阪市は年間400億円の減収となります。国からの地方交付税で少しは補填されるとはいうものの、実質で毎年約100億円の減収となります。この額は大阪市にとって、これまでの改革の努力が水泡に帰するほどの規模であります。地方分権の考えに逆行するのみならず、地方の努力を無にする、このような国のやり方は地方のやる気を削ぐだけであります。このような国のやり方に私も強い憤りを感じます。

東京都は800億円の減収になるという。毎年ですよ。小池知事は、

「国が検討している都税の一部を地方に再配分する制度の強化が実現すれば、何が起こるか。首都の様々な計画に支障が出るのは明らかだ。地方法人課税の見直しで東京都が800億円の減収になった場合、保育所が300ヶ所できる計算だ。特別養護老人ホームであれば約80ヶ所分だ。首都を水害から守る地下調整池の建設や地下鉄延伸などの重要事業を抱える都民の暮らしには大きなマイナスだ。超高齢社会を迎えるにあたって社会保障関連費も年間300億円から400億円のペースで増加するみ込みである」と指摘し、強い懸念を表明しています。

さらに続けて、「東京都は現在、平成4年を基準(100%)として考えると、総予算は97.4%に絞っている。国は135.3%。聖域なき予算の見直しや経費削減などに努める東京都から税収を奪い、『お国が配分を決める』というのでは地方の自主性は育まれないのではないか」と国を強く批判しています。

小池知事の言われることはもっともであります。地方の努力を無にするだけでなく、さらなる困難に地方を追い込もうとする国のやり方に、私も義憤を感じます。

東京都は「知事給与の半減を皮切りに、事業の総点検」をし、「事業の選択と集中」などの努力を行ない「2年間で1600億円分の財源を確保し、約1400億円分の新たな事業を立ち上げた」と、血の滲むような努力をしています。しかし、国や国会に至っては、これら地方で行なっているような改革を行わないだけにとどまらず、逆に議員定数を増やしたり議員歳費を増やしたり、保身に走っています。

小池知事は「『寡(すく)なきを患(うれ)えずして均(ひと)しからざるを患う』という儒教の精神は、縮み思考であり、減退へとつながっていくことを懸念する。パイをこっちからあっちへ移すだけでは日本の持続可能性に疑問を持たざるを得ない。首都がエネルギーを削がれ、他府県も活力を失う日本の未来だけは避けなければならない」と締めくくっています。

国に強く見直しを求めて行かなければなりません。

 

今、注目の共産主義について考える(114)。習近平独裁を憂う。

 矢板明夫氏の『習近平の悲劇』(産経出版)によれば、

「党大会では人事のほかに、改正党規約が注目された。改正党規約に『習近平による新時代の中国の特色ある社会主義思想』が行動指針として明記された件だ。・・・習の名前を冠した思想が党の行動指針となったことで、今後、習の意見や政策に反対することは『党に反対する』ことになる。・・・党中央宣伝部幹部が北京で行った記者会見で『社会主義の革新的価値観として家庭や子供まで徹底させる』と表明した」と書かれています。

この本によれば、中国政府は「家庭や子どもに至る」まで『習思想』を徹底するということのようです。習近平氏の意見や政策に反対することは「反党行為」であり、習思想以外一切の価値観を許さないということのようです。だとすれば、北朝鮮で金日成思想(チュチェ思想)以外の価値観が許されていないのと同じですね。今の中国は北朝鮮と同じく、言論の自由や、表現の自由、思想信条の自由、信教の自由、学問の自由、結社の自由といった基本的人権は全く認められていません。徹底した監視、脅迫、逮捕、弾圧、強制収用、処刑などが繰り返されています。悲惨、まさに地獄ですね。しかし、日本の新聞・テレビは何も伝えない。見て見ぬ振り。何も言わない。逆にフェイクニュースで我々を欺いています。

ところで、習近平思想は?というと。この本によれば、

「◇2035年までに社会主義現代化を実現。◇2050年まで奮闘し富強・民主・文明・調和・美しい社会主義強国を構築。◇海洋強国の建設加速。◇今世紀半ばまでに世界一流の軍隊をつくりあげる。◇中華民族の偉大な復興の実現には闘争が必要。◇一国二制度や高度な自治の方針は完徹。◇一つの中国原則は両岸(中台)関係の政治的基礎・・・」ということのようです。

わかりやすく言えば、徹底した共産主義化を行い、今世紀半ばには米国を超える共産主義国家を築くという。闘争・戦争も辞さず。これ以外の主張や価値観は、反革命として処罰する。そのために強固な習近平独裁を確立する。世界一流の軍隊と一帯一路の政策(金の力)によって世界支配の基礎を確立する。偉大な中華帝国を建設する。というようなことではないでしょうか。

怖いですね。しかしそんな習近平独裁政治下にあっても、「中国の改革派知識人の間でも、『習思想』に対する懸念を示す人が多い」と矢板明夫氏は言う。

独裁は弾圧を生み、弾圧によって民心は離反し、政権は脆弱化する。独裁の始まりは、『習近平の悲劇』の始まりでもある。チャウシェスクの運命がそれを示している。