山田宏参議院議員の質疑、NHK「緑なき島」坑内映像捏造疑惑を追及(2) 前田NHK会長明言“外部の有識者のご意見を伺い、新たな検討をするように指示する”
【前田日本放送協会NHK会長】お答え申し上げます。NHKといたしましては、関係する資料の確認や取材、制作に関わった部署の関係者などからの聞き取り、また昭和30年以前に撮影され保管されておりました、およそ140の炭鉱の映像の精査など、確認作業を行いました。その後、様々なご指摘を受け、さらに昭和30年以降の映像につきましても画質をより鮮明にして解析するなどの作業を進めております。こうした作業の中で「緑なき島」以外に端島炭鉱の内部の映像を使用したニュースなどが確認をされております。確認された映像の内容につきましてご説明申し上げますと、NHKが所有しております昭和22年のニュース映画の映像では、坑内の具体的な場所は特定できませんが、狭い坑内でツルハシを振り下ろしている男性などが確認されております。このほか昭和35年放送と記録されている番組では、上半身裸の作業員が坑内から出てくる場面がございました。また昭和39年放送と記録された番組では坑道内とみられる場所で、作業員が石炭をすくう様子などが映っておりました。先生御指摘のようにですね、関係者の方が非常に少なく、かつ映されたカメラマンの方は既に亡くなっておられまして、この方お一人で撮影されておりましたので、それ以上の確認は大変難しい状況であることをご理解いただきたいと思います。
【山田宏参議院議員】長々と御答弁されましたけれども、要するに、当時の直接撮影に関わった人の証言を得てないわけです。それから、誰から聞いたのかということもNHKは出さない。しかし一方の島民の皆さんは名前を出して、顔も出して、そして証拠も出して、これは端島炭鉱の内部じゃないと言っているんですよ。私、前田会長に抗議したり、何か吊るし上げたりする気はないんですよ。前田会長だって、初めて聞いたと思うんですよ。みんなここにいらっしゃる人、そうだと思う。NHKが悪気でこのドキュメンタリーを作ったと思えないんです。「緑なき島」を見れば、本当に明るい端島炭鉱の映像なんです。しかし、坑内映像だけはおかしいじゃないかと言ってるわけです。今、裸の人もいたツルハシを持っている人もいた、それは採炭現場ですか?石炭を掘っている現場の映像ですか?エレベーターで降りた所に大きな広場があるんですよ、端島は。そこまでは撮影をしたことがあるということを聞きました。調査で。しかしそこはですね、みんなが集まって帰る所で、エレベーターに並ばなきゃいけない。そこから採炭現場に行く。採炭現場の撮影ですか?裸の人が出てきたというでしょう。暑いから途中で脱いで出ていくわけですよ。採炭現場で裸でふんどし一丁でツルハシを振り落とす、あんな狭いところがあったのかと言っているんです。それを見たんですか?
【前田日本放送協会NHK会長】お答え申し上げます。坑内の特定の場所どこかということについては、申し訳ないんですが、特定はできておりません。
【山田宏参議院議員】そうだと思います。しかし、働いていた島民の皆さんはそういうようなツルハシを持って採炭現場であんな狭いところを這って歩く、あんなようなことはないと、全員が断言しているんですよ。NHKは調べようがないとおっしゃるかもしれないけど、誰が考えたって、これ、会長やっぱり会長も銀行をずっと経営されてこられて、誰でも変だと思いませんか?これ。やっぱり何かあるんじゃないかと、普通の人は思いますよね。それだったらNHKのほうからここで働いている人で、いやNHKの映像は端島の坑内映像だという人を一人でも連れてきてくださいよ。それができなければ、やっぱりきちっと誠意を持って調べるのが、いろいろ調べた、それはこちらが調べてなかったんだと、我々はそれ全部知らないですよ。誰から証言を受けたのか、どの映像を見たのか、見せてくださいよ。それを。島民の皆さんにどうですか。
【前田日本放送協会NHK会長】お答え申し上げます。元島民の方々からのご指摘を踏まえまして、現時点でできる限りの確認作業をNHKとして行ってまいりました。その結果、繰り返しご説明してきましたとおり、これまでの作業で別の炭鉱で撮影された映像が使用された事実は残念ながら確認されておりません。また、「緑なき島」は当時の取材に基づき放送されたものと、制作、放送されたものと報告を受けております。「緑なき島」につきましては66年前、私が小学校四年生ぐらいの時の映像でございます。テレビが始まって2年後の番組で関係者は亡くなっておりますので、最近制作された番組と比べますと、確認作業には制約がございました。私はこの問題について、お話を聞いて以来NHK、自分で一生懸命確認作業をしておりますけれども、自分で自分のことを証明するのは大変難しくて、私もある意味では直前まで第三者でございましたので、今回の件につきましては、外部の有識者のご意見を伺うことなどを含め、また島民の方々に向き合いながら、新たな検討をするように指示をしたいと思います。