中国共産党政府との関係を見直そう(113)。日本の政界や経済界もウイグルで起きている人権問題を無視してはならない。
4月9日付日本経済新聞の【ウイグル巡り「取引先開示を」、人権問題 投資家が圧力 企業、米中の板挟み】と題する記事です。
『人権問題に対する企業の取り組みに投資家が圧力を強めている。中国の少数民族ウイグル族の問題をめぐっては、機関投資家が世界の主要企業に取引状況を開示するよう求めた。多くの企業にとって成長が続く中国市場は重要だ。一方で、対応を誤ると欧米などの市場で反発を受けかねず、板挟みとなっている。米国の機関投資家団体ICCRは3月下旬、新疆ウイグル自治区の強制労働などに関わっていると思われる47社に、取引先の詳細などを開示するよう求めた。アルファベットやアップル、フォルクスワーゲンなど欧米企業のほか、ファーストリテイリングなど日本企業も対象になった。・・・今回の取り組みに参加した57の機関投資家の運用資産規模は約4.4兆ドル(約480兆円)に上る。・・・ファーストリテイリングの売上高で、台湾と香港を含む中華圏の割合は2割強だ。柳井正会長兼社長は8日の決算発表記者会見で、ウイグル問題には「ノーコメント」とした上で「全部の工場を監視している。人権問題があれば取引を即座に停止する」と述べた。人権問題に鈍感だと受けとめられれば、欧米で不買運動が起きる可能性もある。投資家も監視を強めることで板挟みが一段と進む』。
また4月15日付日本経済新聞は【ウイグル綿使用 良品計画は継続 投資家の視線厳しく】と題する記事で、
『生活雑貨店「無印良品」を運営する良品計画は14日、中国・新疆ウイグル自治区の人権侵害の問題をめぐり、「新疆綿」を使った衣料品の販売を続ける方針を示した。同日の決算記者会見で松崎暁社長はウイグル問題への言及を避けた。・・・松崎暁社長は会見で人権問題に関する質問に答えず、会社側は人権を重視した調達を実施していると説明したプレスリリースの範囲の回答にとどめた。こうした対応に「欧米からの反発は避けられない」(海外証券アナリスト)との声もある。・・・カゴメは21年中に新疆ウイグル自治区で生産されたトマト加工品の利用を止める方針を示した。山口聡社長は14日、「ウイグルのトマトは調達面で安定性に弱い部分があった。人権問題も含め、調達を止める決断に至った」と話す。山陽商会の大江伸治社長は同日、一部ブランドで新疆綿を少量使っていることを明らかにし「適切な対応を検討する」とした』と報道しています。
さらに4月26日付日本経済新聞は一面で【アサヒGHDや東芝など 人権配慮の調達 企業急ぐ 訴訟や投資撤退 政治リスク増す】と題する記事を掲載しています。この中で主要な国内企業の人権対応として、アサヒグループHDは「21年からコーヒー豆などの農産物についてアンケートや現地調査を実施」、東芝は「中国での強制労働との関係が疑われる現地企業とブランド供与先との取引を停止」、ファーストリテイリングは「中国など600以上の取引先縫製工場で労働環境を監査。低評価企業は取引の縮小・停止も」、三菱地所は「建設工事で使う型枠合板を全て国際的な人権基準を満たすものに切り替え」るということです。また、 世界の「人権デユーデリジェンス」法制化の動きについても紹介しています。英国は、「自国内企業にサプライチェーン上の強制労働リスクについて調査・報告を求める」。フランスは「人権調査や改善計画の公表を義務付け。損害賠償責任も規定」。オーストラリアは「強制労働について調査・報告を義務付け」。オランダは「児童労働についての調査を義務付ける法律制定。違反時の刑事罰も」。ドイツは「23年に企業に人権調査を義務付ける法律を施行」と、世界各国の動きを紹介しています。