有村治子参議院議員の質疑(3)、2021年3月24日、参院文教科学委員会「日韓請求権経済協力協定について」

《日韓請求権協定について》

【有村治子参議院議員】それではまた慰安婦のことを引き続き伺います。日本と韓国は1965年に日韓請求権経済協力協定を締結し、国交を正常化させました。両国がお互いに努力し、歩み寄り、14年の歳月をかけてやっと合意したこの協定において、慰安婦のことはどのように論じられ、いかに対応されているのでしょうか?

【石突参事官】お答え申し上げます。日韓請求権協定におきましては、慰安婦問題を含め日韓間の財産請求権の問題は、この1965年の日韓請求権経済協力協定で完全かつ最終的に解決済でございます。

【有村治子参議院議員】その協定が結ばれる過程で、どのように慰安婦問題が論じられたのかということを伺っております。

【石突参事官】交渉の日韓国交正常化交渉関連文書の中に、南方占領地域慰安婦の預金残置財産との記述が存在することは承知しております。いずれにせよ慰安婦問題を含めて、日韓間の財産請求権の問題はこの交渉の結果締結された1965年の日韓請求権経済協力協定で完全かつ最終的に解決済みでございます。

【有村治子参議院議員】という日本政府の主張にもかかわらず、今年1月に出されたソウル地裁の判決においては元慰安婦等原告の損害賠償請求権は、今おっしゃった1965年の請求権協定の合意に含まれないと、韓国が主張しています。これに対する日本政府の見解をお聞かせください。

【岡野国際法局長】1965年の日韓請求権経済協力協定では一項というのがございますけど、請求権の問題が完全かつ最終的に解決されたものであることを明示的に確認しております。国と国との間の問題として日韓間では個人の請求権を含めてこれらの問題は完全かつ最終的に解決済というのは明白でございます。

【有村治子参議院議員】この限られた30分の質疑においても、やはりこの慰安婦問題というのは根が深いということを、皆様実感されると思います。多くの慣習や伝統を背負って重責を背負われる文部科学大臣としてのお立場と、日本の尊厳を大事に活動してこられた政治家としての信念において、時に相克が起こってしまうであろうことも容易に想像がつきます。その中でより良い未来を作ろうと先頭に立って努力をされ、35人学級まもなく実現でございます。その実現など結果を出しておられる萩生田大臣のさらなるリーダーシップを念じ、共感をし、また与党の一員として、この教科書記述も含めて、本来のあやまるべきところはしっかりと国際社会に謝り、しかしいわれなき虚偽に対しては毅然としっかりと反論をして、その明確な分別をつけていく、そういう政治課題に共に背負って向き合っていきたいと思います。以上で有村治子の質疑を終了します。

有村治子参議院議員質疑(2)、2021年3月24日、参院文教科学委員会『ラムザイヤー論文について』

《ラムザイヤー論文について》

【有村治子参議院議員】ハーバード大学のマーク・ラムザイヤー教授 が戦時中の慰安婦に関する学術論文、「太平洋戦争における性サービスの契約」を発表されました。学識者による査読も経たこの論文において、教授は戦地の慰安施設 という心身ともに過酷でリスクの高い場所にあって慰安所事業主が女性を取り巻く各利害関係者など、どのような契約を結ぶことが合理的で信頼できると、それぞれのステークホルダー が考えて 行動したのか、法経済学的なアプローチでの解明をはかっておられます。 この論文の発表後、米国や日本 韓国においても様々な反応がでています。どのようなことが起こってますか?

【岸崎参事官】お答え申し上げます。個別の研究者による論文の内容について、政府としてコメントすることは差し控えたいと思いますが、ラムザイヤー・ハーバード大学教授のご指摘の学術論文は、査読を経て昨年12月にオンライン上で公表されたと承知しています。報道によれば本年2月ごろから、まず韓国、続いて米国において論文への批判や論文の撤回を求める動きが急速に広まったと承知しております。その一方で査読を経て公表された学術論文の撤回を一方的に求める動きについては、韓国国内や米国、日本の有識者等より学問の自由の観点からの懸念等も表明されていると承知しています

【有村治子参議院議員】自然科学であれ人文科学であれ、またどのような立場をとるにせよ、学術的探究や学術的成果の発表方法 、表現については法律や公序良俗に反しない限り、最大限尊重されるべきだと、考えます。根拠のない 係争や 感情論ではなく、論拠を明示せねばならない学術論文に対する反論や批評は、言論においてなされるべきだと考えます。様々な視点や意見を持つ人々が、それぞれフェアプレーの精神で論陣を張り、そして複眼的な検討を経て、より説得力のある真実を見出していくことこそ、学問や研究の強さであり、強靭さであり、民主主義の発展につながる尊い対話だと考えます。日本の文部科学行政を司るトップとしての文部科学大臣の御所見を伺います。

【萩生田大臣】研究者が外部から干渉されることなく、自発的かつ自由に研究活動を行いその成果を自由に発表することは尊重されるべきと考えています。なぜならそれぞれの研究者が自発的かつ自由に研究活動を行い、互いに競い合うことで真理に近づくことができるということを、私たちは歴史から学んできたと思うからです。したがってある研究者の研究成果に対する批判は、他の研究者の別の研究成果によって行われてこそ意義があるものになると思っております。

【有村治子参議院議員】明快な御答弁有難うございます。