大阪市営交通事業の民営化について考える(1)自民党の12項目の要求について

まずはじめに、自民党大阪市会議員団が市長に要望している「大阪市として解決すべきと考える項目」(新聞でも大きく取り上げられました)の(3)に「8号線など、国の答申に向けて本気度を示すために、整備に向けた基金の創設」という要望があります。「8号線など」という表現で何を指しているのか定かではないのですが、おそらく地下鉄8号線の延伸《今里〜湯里六丁目間》のために基金を創設しなさいということだと理解します。この自民党の要望について考えていきます。大阪市は平成25年9月に「大阪市鉄道ネットワーク審議会」を設置し、8号線を含めた未着手の地下鉄計画路線の整備のあり方について諮問しました。平成26年8月に審議会から出された答申では「未着手の地下鉄路線の事業化の可能性は公営・民営に関わらず試算の結果は極めて厳しい」として「多様な機種(LRTやBTR等)の導入可能性も含め、幅広く検討」すべきとして、「まずは『BRTによる需要の喚起・創出及び鉄道代替の可能性を検証するための社会実験』の実施に向けた検討を行うよう提言」をしたところであります。この答申を受けて大阪市交通局は「(1)未着手の地下鉄条例路線が、国の次期答申に盛り込まれるよう、これまでと同様行政とも連携しながら取り組んでいく。(2)大阪市鉄道ネットワーク審議会からの答申を踏まえ、本市としての考え方を新会社は最大限に尊重していく。(3)BRTの社会実験については、引き続き大阪市と連携・協力する」と、今後の方針を示したところであります。しかるに自民党の要望を見る限りでは(具体的な説明も何もないので文言だけで判断しなければならない状況です。基金もどの程度なのか分かりません。巷では自民党は100億円を想定しているとも言われています。説明が無いのでわかりません)、かかる経過を無視して、何がなんでも、地下鉄建設に着手すべく、建設の為の基金を創設せよとの強い要望であります。自民党は12項目の要望すべて、100%受け入れられることが民営化賛成の条件としているとも聞こえてきます。これでは、民営化に賛成なのか、反対なのか分かりません。大阪市の財政状況については「当面の単年度通常収支不足額は200億円程度になる見込み」というのが大阪市財政局の見解であります。また優先的に取り組まなければならない施策、喫緊の課題も山積しています。かかる中で、地下鉄8号線建設事業(膨大な赤字が予測されている)に巨額な基金を積み立てることは、市民目線から見て妥当な判断なのでしょうか。疑問を感じざるを得ません。いずれにしましても、自民党が出した12項目の要望について、市民に説明する必要があるのではないでしょうか?議会人である我々も知らない、市民も知らない中で、ごく一部の人たちだけで決めようとする姿勢は、東京都のような過ちを繰り返すことになるのではないでしょうか?

今、注目の共産党について考える(46)猪木正道元京大教授の著書より(4)

猪木正道元京大教授は共産主義の暴力性についてさらに次のように指摘しています。「一党独裁が血なまぐさい犠牲を伴いながら、ついに1人1派の全体主義的支配に帰着せざるをえないという、この恐るべき権力のダイナミックスの中に共産主義の暴力性の第三の淵源がひそんでいる。今まで暴力の主体であった共産党員が、暴力の客体になった意味で、この点は特に注目されよう」と著書に書かれています。つまり革命によって、中産階級やプロレタリア大衆に対して暴力の主体となった共産主義者のうち、ほんの一握りの「1人1派」を除いて、大多数の共産主義者・共産党員が暴力の客体に転落するというのです。最終的には共産主義者間の権力闘争に勝ち残った「1人1派」のみが暴力の主体となり、他のすべての共産党員、プロレタリア大衆、中産階級、国民のほとんどが暴力の客体となって、暴力と恐怖による支配を受けるようになる、これは共産主義の宿命だと言われています。今の中国や北朝鮮で行われていることを見れば猪木元教授が言われている通りであります。「1人1派」の権力基盤を確立するために、同士であった共産主義者に対しても無慈悲な粛清が行われています。粛清につぐ粛清がいまだに続いています。さらに歴史的に見ても旧ソ連をはじめ、すべての共産主義国家が同様の運命を辿って来ました。このことについては「共産党以外の政党結社が禁止されている以上、共産党内における言論の自由を廃するときは、党は必然的に官僚化し、一部党官僚独裁に堕する」との指摘がなされています。日本共産党は旧ソ連について、綱領に「生産者を抑圧する官僚専制の体制をつくりあげた旧ソ連の誤りは、絶対に再現させてはならない」と書かれています。「官僚専制体制」という意味不明な表現ですが、「1人1派の全体主義的支配」「一部党官僚独裁」についての課題意識はあるようです。しかしその再現を避ける方法については触れておらず、ただ日本「独自の形態の探求が重要である」と書かれているだけであります。課題に対しては何の解答も示されておりません。猪木元教授は共産党の一党独裁は「血なまぐさい犠牲を伴いながら、ついに1人1派の全体主義的支配に帰着せざるをえない」と指摘しています。日本共産党が「官僚専制体制」にならない日本独自の道を探求しても何も見つけられないという意味でしょう。共産党は言ってみただけということでしょうか?もしあるのであれば、隠さないで明確に示さなければなりません。