今、注目の共産党について考える(59)。中国、企業活動の自由もなし。企業活動も共産党がコントロール。

平成27年8月17日の日本経済新聞の一面トップ記事に「中国企業『党の介入』明文化、上場288社定款変更」との見出しの報道がありました。それによれば、

「日本経済新聞社が調べたところ、党が経営判断に深く関わることを容認するなどの項目を盛り込んだ企業が4月以降で約200社にのぼった。党の意向をくんだ経営が一段と強まれば、外資企業にとって合弁事業など中国投資のリスクが高まる可能性がある。世界規模の企業もあり、国際秩序と相いれず新たな摩擦を生む恐れもある」。

「中国の憲法では党が国家を指導すると明記されている。党主導の国とはいえ、株主に一般投資家も多い上場企業が、党が企業経営の意思決定にまで関与することを自ら容認し、定款まで書き換えるのは異例だ。具体的には『企業内に党の中心的地位を認める』『社内に党組織を設立する』『重大な経営の決定事項の際は、事前に社内の党組織の意見を優先的に聞く』『会社の経営トップは社内の党組織トップを兼務する』などの内容が明記された。業種も多岐にわたる。中国工商銀行など四大銀行や鉄鋼大手の宝山鉄鋼、通信大手の中国聯合網絡 通信、トヨタ自動車やホンダと合弁事業を行う自動車大手の広州汽車集団などが含まれる。広州汽車は社内に党組織を作り、そこに十分な人材を配置し、活動費も企業負担を保証するという内容まで定款に わざわざ盛り込んだ」。

「習氏の権力基盤が固まれば中国企業への党支配はさらに広がる。外資企業にとっては、合弁相手の中国企業が党の意向に振り回され、幹部人事や新規事業の決定などで迅速な決定ができず、経営が滞るといったリスクを抱えることになる。中国投資について、今まで以上に慎重な経営判断が求められそうだ」と報道されています。

このことについては平成29年6月29日の産経新聞のオピニオン欄に石平氏がChina Watch「完全支配体制をめざす『党建』」と題して寄稿しています。この中で石平氏は、

「『党建』とは中国共産党の専門用語で、『党組織の建設』を指している。『党建全面カバー』とは要するに、 中国国内に存在するすべての機関や企業体、各種の社会団体にあまねく共産党組織をつくり、党組織のネットワークを持って中国社会を完全にカバーすると言う意味合いである」。「民営企業や外資企業など国有企業以外の企業体」や「学術団体や業界団体、NPO組織や同好会など、ここ20年で頭角を現し、各分野で活躍している民間団体」などすべてに党組織をつくることによって、「すべての中国人は、みじかにある共産党組織によって監視、管理され、逃げ場のない『完全支配体制』の中で生きていくしかないのである。・・・・」

「外資企業がそこから逃れる唯一の道は、共産党支配の中国から一日も早く撤退することであろう」と。

生産手段の社会化(私有財産の否定と国有化)は共産主義の本質であります。自由は共産党一党独裁を脅かすが故に、共産党は一切の自由を認めません。生産手段の社会化と矛盾する経済活動の自由も当然共産社会では認められることはありません。これ以上経済活動の自由を許せば共産党一党独裁が維持できないという、ギリギリのところで、習政権はあらゆる企業、あらゆる団体を共産党の管理下に置くという「党建全面カバー」を決断したのだと思います。しかし、経済活動の自由を否定し企業を共産党の管理下に置くということは、経済の失速を招きやがて経済全体の崩壊に繋がっていきます。

経済活動の自由を認めれば共産党一党独裁は存続できなくなり、経済活動の自由を否定すれば経済社会は崩壊し、共産党の一党独裁も危うくなります。もはや共産党一党独裁を維持する道は完全に塞がれたということでしょう。共産党支配の終わりが来た時のことを今から考えておかなければなりません。

 

 

今、注目の共産党について考える(58)。米国務省の2016年版報告書より。米、中国の宗教弾圧非難。

共産主義は共産主義の利益に反する自由は一切認めません。思想信条の自由もありません。集会結社の自由、表現の自由もありません。宗教の自由もありません。自由がないという事は弾圧や抑圧があるということです。従って我々の意味する人権は一切ありません。

8月16日の産経新聞によれば、「米国務省は15日、米国を除く世界199ヵ国・地域での信教の自由に関する2016年版報告書をトランプ政権発足後初めて発表した。・・・中国に関しては『信仰を実践する数千人を拷問、拘束、収監している』と非難するとともに、気功集団『法輪功』への弾圧を問題視し、ウイグルのイスラム教徒やチベット仏教徒の宗教活動に対する制限が増えているとした。報告書では中国国内に存在する非公認の『地下教会』に言及し、キリスト教会が破壊されたことに抗議した牧師の妻が『生き埋め』にされた事件を紹介した」と中国における人権弾圧を報告しています。

このような中国の人権弾圧については、人権派をうたっている他の日本の新聞・マスコミは一切何も報道しません。糾弾することもありません。何もないかのごとく静かであります。もし分かっているのに報道しないということであれば、容認していることになります。それとも、ありえないことだと思いますが、知らないのでしょうか。それとも、これもありえないことだと思いますが、共産主義を礼賛しているのでしょうか。そうでなければ、勇気を持って真実を報道すべきであります。我々には知る権利があります。

人権弾圧は共産主義に共通する共産党、共産党政権の人格性であります。共産主義を維持、存続させるためには、その脅威となる一切の自由は許さない。人権も認めない。宗教の自由も認めない。弾圧、虐殺も厭わない。これが普遍的な共産党の人格性であります。それでも日本においては、一部の政治家や政党は共産党と連携したり、さらには共産党からの支援を受けたりしています。理解不能と言わざるを得ません。