大阪都構想実現の必要性について考える(85)。「相当に悲惨な社会となる」まえに、やれることがあるはず。

東大法学部教授・金井利之氏の、「一握りの超高齢者を除き、多くの超高齢者は苦境に立つ」「結果的に超高齢者は安心して生活できず、相当に悲惨な社会となる」との言葉は衝撃的であります。このまま、なんらの対策もなく超高齢社会に進んでいいけば、金井氏が言われるような「悲惨な社会」、「結果的に社会が支えきれずに、平均寿命が短命化して、政策編成と超高齢者社会の望ましくない再均衡が生じ得る」時代がやってくることは、私にも想像できることであります。

ここで私たちが住んでいる大阪市の、人口に占める就業者の割合について考えてみたいと思います。いわゆる統計上の生産年齢人口は15歳〜64歳までですので、この中には当然働いていない人もいます。したがって就業人口について調べてみる必要があります。

そこでまず、大阪市の夜間人口に占める就業者の割合ですが、平成7年では51.5%(夜間人口259万6486人、うち就業者133万6176人)です。それが平成22年になりますと42.9%(夜間人口266万5314人、うち就業者114万3391人)となっています。平成7年の時点ですでに、いわゆる「1人でプラス1人を支える時代」に突入し、平成22年に至ると「1人でプラス1.3人を支える時代」になっていることが分かります。自分を含めると「就業者1人で2.3人を支える時代」ということになります。今は平成30年ですからこの数字はさらに進んでいることになります。支えきれなく時代がやってくることは容易に想像できます。

次に昼間人口に占める就業者の割合について調べてみますと、平成7年では65.0%(昼間人口380万3203人、うち就業者247万1708人)。平成22年になると55.9%(昼間人口353万8576人、うち就業者197万8015人)となっています。大阪市内で働く人が大きく減少しているのがわかります。少子高齢化の進展や大阪の産業の衰退が大きな要因と推測できます。

「相当に悲惨な社会」がやってくる前に、私たちがやらなければならないことはすべてやらなければなりません。変革や改革を恐れるあまり、現状維持にこだわり続けるならば、金井先生が予見されたような「悲惨な社会」となって行くでしょう。

 

大阪都構想実現の必要性について考える(84)。「結果的に社会が支えきれなくなる」「相当に悲惨な社会となる」

東京大学法学部教授、金井利之氏の『超高齢社会の自治体政策再編』より以下引用です。

「大都市圏では、地方圏からの人口流入により、必ずしも人口減少が目に見えて起きているわけではない、しかし、少なくとも、高度成長以来、大量に流入してきた世代が高齢化を迎え、いわば、高齢者過密問題を引き起こしつつある。そして、そのロット(絶対数)は、地方圏が直面してきた水準をはるかに凌駕するため、大都市圏での超高齢化は、極めて困難な問題を投げかけている」。

「過疎問題に過疎政策、都市問題に都市政策、という発想に従えば、超高齢社会には超高齢政策を展開するのが当然であろう。自治体が超高齢政策を先導することが、国・企業に対する最も重要な働きかけである。しかし、超高齢政策は、それ単独では、結果的には対処療法的なものに留まることが避けがたい。年金の再計算を見れば明らかである。少子高齢化と超高齢化が進めば、基本的には年金は再計算するごとに不足する。そのために、給付を削減するとともに、負担を引き上げることで、帳尻を合わせざるを得ない。そして、ある時点での年金「改革」で帳尻があったとしても、いずれは成り立たなくなる。なぜならば、少子高齢化が継続的に進めば、さらに、給付を削減し、負担を引き上げなければならない。つまり超高齢社会への政策再編は、砂漠で蜃気楼のオアシスを求めるようなもので、『逃げ水』のように、常に、彼方に遠ざかってしまうのである」。

「超高齢社会で長生きするというリスクが顕在化しても、安心して生活できるようにするのが、リスクへの対処としての社会保障制度の役割である。しかし、少子高齢化が持続する限り、このような政策編成を構築することは、至極困難である。超高齢者が安心して暮らせるような社会ができれば、それに応じて、平均寿命は高止まりして、政策編成の持続可能性は厳しい。しかし、そのような政策編成の構築に失敗すれば、結果的に超高齢者は安心して生活できず、相当に悲惨な社会となる。金融資産や家族関係資本や健康な身体という資本を持つ一握りの超高齢者を除き、多くの超高齢者は苦境に立つ。そして、結果的に社会が支えきれずに、平均寿命が短命化して、政策編成と超高齢社会の望ましくない『再均衡』が生じ得る」。

金井氏はこのように超高齢社会の厳しい現実を予測しています。20年後には高齢化率は33.3%になります。50年後には40%を越えると言われています。1人が1人の高齢者を支えるという社会が近い将来現実のものとなります。金井氏の表現を借りれば、若者にとっても超高齢者にとっても「相当に悲惨な社会となる」という事です。そして、このままでは「結果的に社会が支えきれなくなる」時がやってくるとの警告もされています。