中国共産党政府との関係を見直そう(82)。「戦後」の世界について考える。グローバル時代は終わった。

グローバル時代は終わった

米歴史学者 エドワード・ルトワック氏、産経新聞5月9日の『コロナ  知は語る』より、氏は「危機が暴いた『世界の真実』を解き明かし、『国民国家の責任』が増す時代に回帰すると予言した」。

EUは役割見失う

「EUが直面した初の戦争並みの不慮の事態である新型コロナへの対応に失敗した。共有された医療情報や共通の医療戦略は存在せず、相互支援もあまりなかった」「EUの連携した外交政策も皆無だった。例えばイタリアは中国からの支援を喜んで受け入れた。他方、ドイツやスウエーデン、オランダなど他の欧州諸国は中国の支援を拒絶した。融合を目指したEUは役割を見失った。今後は英国に続き、多くの加盟国が静かに脱退していくはずだ」

米中の「大国間競争」はトランプ米政権に有利に、

「中国が対応を誤った」ことは誰もが知っている

「これは、米国の自由民主主義的な政治制度と中国を統治する共産党独裁体制とのせめぎ合いだが、中国の同盟国はパキスタンとイランの2カ国だけ。イタリアも中国に征服された。イタリアは歴史上、間違った側について、後から態度を変えることで有名だ」「一方、他の国々は中国に背を向け、米国に付いている。ラーブ英外相4月16日、『対中関係を全面的に見直すべきだ』と語っているのが良い例だ。中国の習近平国家主席は、ウイルスなどすべての事態への対処には独裁制が適していると主張して強権手法を正当化する。さらには世界を率いる指導者になる用意があるとの立場を示すが、世界各地で拒絶されている」

国は国民を守る責任がある

グローバル時代は終わった

「新型コロナ危機を受けて起きているのは、グローバル化の揺り戻しとしての『脱グローバル化』だ。グローバル化は国際機関の台頭と連動してきた。EUやWHOなどの機能不全が明白となったことで、世界はグローバル化や多国間枠組みから後退し、国民国家が責任を持って自国民を守る方向に回帰するだろう」

脱グローバル化により

民主主義が損なわれることはない

「新たな独裁諸国の台頭こそが、人々が称揚するグローバル化の産物だ。インテリ層は、グローバル化を『世界民主主義』であるかのように主張したが、現実には民主体制からプーチン独裁体制に変容したロシアや、集団指導体制から習体制に移った中国など、多くの国が独裁制に傾いて行くのを促進した」「グローバル化が独裁制と親和性が高いのは、国際機関が非民主的だからでもある。EUとは選挙で選ばれた各国政府の権限を欧州委員会に移管するもの。欧州諸国の民主体制が弱体化したのは、各国の権力が非民主的な体制に移されたせいだ。グローバル化が民主主義に何ら寄与しなかった以上、脱グローバル化により民主主義が損なわれることはない」

〈詳しくは産経新聞をお読みください〉

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中国共産党政府との関係を見直そう(81)。「戦後」の世界について考える。西側諸国では中国を友好国とみなす国はなくなった。

 コロナの敗者は中露首脳、民主主義国も

予断許さずーFINANCIAL  TIMESー

 ー令和2年5月8日、日本経済新聞よりー

西側諸国では中国を友好国とみなす国はなくなった

「アジア以外に目を向けると、今回の感染拡大で西側諸国では中国を友好国とみなす国はなくなったという事実がう浮き彫りになった。感染の発生に対する中国政府の最初の対応が『事態の隠蔽』だったことは、トランプ米大統領の支持者による陰謀説など聞かずともわかる。その後、中国政府がとった威圧的な外交は、自らに責任がないことを証明する狙いだったが、隠蔽したという疑惑を強めただけだった。ウイルスの発生源について国際的な調査を実施すべきだとする国々の先頭に立つオーストラリアは4月27日、中国を『経済力で他国を支配しようとしている』と非難した。経済力で他国を支配しようとしているとの疑念は、強まる中国への批判の流れと一致している。相手国の重要な資産を最終的には飲み込むような中国の投資や貿易政策、南シナ海での軍事的行動は、欧州の中国への姿勢を一変させた。EUのある上級外交官によると、EUの対中政策の基本はごく最近まで『共に何かに取り組もう』だったが、今は中国からの提案はまず押し返すという。英国も同様だ」

習近平政権の権力基盤の脆弱性

「習氏は、最初に中国の武漢で感染拡大が猛威を振るったときより今、事態をしっかり掌握しているようにみえる。しかし、この立ち直りより衝撃的なのは、感染拡大への中国政府の当初の対応に対する中国市民の怒りの抗議で露わになった権力基盤の脆弱さだ。習氏が感染の震源地、武漢を訪問できたのは感染拡大から2ヶ月以上たってからだ。中国市民による抗議は、何ヶ月も続いている香港での民主化運動や台湾総統選での独立派の圧勝とタイミングが重なった」

民主主義国家も予断許さず

「自由民主主義国家はコロナ危機後も健在だと安心してはいけない。コロナ危機は、西側各国が日ごろ口にしてきた『互いに助け合い、協力する』という約束を限界まで、あるいは限界を超えて実行できるかを試している」