アメリカで何が起きているのか?(25)。「誰がこの国を治めているのか、分からない」

1月18日の産経新聞に「ポトマック通信」(渡辺浩生)と題する記事が載っていました。

2006〜11年に米国に駐在した際に知り合った弁護士と先日再開した。政治が話題になると、「誰がこの国を治めているのか、分からない」と嘆いていた。バイデン大統領は支持層への訴えに執着し、国全体を引っ張るリーダーがいないという。議員に政策を売り込むロビー活動に携わる彼がそう感じるのだから、この10年で深まった党派的な分断は相当だと思った。1月6日の連邦議会議事堂襲撃事件1年のバイデン氏の演説は「分断」をむしろ深めたのではないか。「暴徒」はもちろん、トランプ前大統領とその支持者、バイデン氏の勝利を認めない共和党議員を米国の民主主義の敵とみなす激しい言葉が並んだ。「融和」を全国民に 訴えかけた昨年の就任演説とあまりに対照的だった。その議会は、政権が強く推す選挙改革法案をめぐる党派対立で膠着状態にある。共和党が多数派の州で進める投票権の規制強化に対抗する連邦法だが、バイデン氏は11日の演説でも、同法案に反対する共和党を人種差別主義者になぞらえ、「全体主義者」と攻撃した。先の友人は長男が新型コロナウイルスで休校の間にゲーム漬けとなり引きこもりの状態。関心は教育の向上だが、政敵を罵り合う政治から熱意は伝わらないとも。米国民の政治不信の背景がわかり始めた気がした。

アメリカが国内の「分断」を乗り越え、世界平和のためのリーダーシップを発揮することを心から願うものです。

 

アメリカで何が起きているのか?(24)。トランプ米前大統領、アリゾナで大規模集会

令和4年1月17日、日本経済新聞はアリゾナ州で開催されたトランプ氏の支持者集会について、次のように報道しています。

米国のトランプ前大統領は15日、西部アリゾナ州で支持者集会を開いた。2020年の大統領選挙について「いかさまの選挙だった。いたるところに証拠がある」と主張した。21年1月の連邦議会占拠事件の真相を追及する下院特別委員会に選挙不正の調査を要求した。トランプ氏はバイデン大統領が連邦議会に可決を求めている投票権保護に向けた法案について「選挙不正のための法律だ」と批判。「共和党候補を当選させないための法律だとも言える」と訴えた。バイデン氏は州レベルで進む投票規制強化に対抗するため同法案を推進する方針を示している。

また、NHKは1月16日の報道で次のように伝えています。

アメリカのトランプ前大統領が大規模な集会を開き、秋に行われる中間選挙で共和党による議会の多数派の奪還を訴えるとともに、先の大統領選挙で不正が行われたなどとする、自らの主張に同調する候補者への投票を呼びかけました。アメリカで今年秋に行われる中間選挙に向けて、トランプ前大統領は15日、西武アリゾナ州で、今年初めてとなる大規模な集会を開きました。トランプ氏はおよそ1万人の支持者らを前に、「ここから共和党の大きな波が始まり、アメリカ中に広がるだろう。共和党の愛国者たちの止められない勢いが民主党の社会主義者たちを落選させる」と述べ、現在は民主党が主導する議会で多数派を奪還するよう訴えました。またトランプ氏は、連邦議会議員や州知事などの選挙の候補者のうち、先の大統領選挙で不正があったなどとする、自らの主張に同調する候補者の支持を表明していて、この日もこうした候補を壇上に上げ、投票を呼びかけました。NBCテレビによりますと、トランプ氏がこれまでに支持を表明している候補者は原色を含めおよそ90人いて、中間選挙でこうした候補者たちが当選するかどうかが、トランプ氏の影響力を測る試金石になるとして注目されています。

またAFP=時事は以下のように報道。

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米国のドナルド・トランプ前大統領は15日、アリゾナ州で大規模な集会を開き、2020年大統領選挙の勝者は自分であると改めて支持者に訴えた。トランプ氏は「ワシントンの政治家たちに我々の生活をコントロールされるのはもうたくさんだ。命令にはうんざりだ」と述べ、「過激な民主党は米国を共産主義国に変えたいと望んでいる」と主張。さらに「われわれは選挙に勝った。大差で勝った。彼らをこのままで済ますことはできない」と語った。会場には遠方のフロリダ州やテキサス州から来て数日前から現地入りしている熱烈な支持者もおり、「トランプ2020」や「トランプ2024」と書かれた旗も見られた。トランプ氏は当初、自身の支持者による連邦議会議事堂襲撃事件から1年目の節目となる6日に記者会見を予定していたが、突然キャンセル。多数の支持者の前に姿を見せたのは昨年10月以来となる。

1月17日の産経新聞は、

トランプ前大統領は15日、米西部アリゾナ州フローレンスで今年初となる支持者集会を開いた。6日に発生から1年を迎えた自身の支持者による連邦議会議事堂襲撃事件についての発言が注目される中、「(事件は)民主党にとって選挙不正を隠す格好の言い訳だ」などと述べる半面、自らの責任や関与については言及を避けた。「われわれは2024年にホワイトハウスを取り戻す」とも語ったが、自身が出馬するかについては明言しなかった。トランプ氏は当初、事件から丸一年となる6日に居住先の南部フロリダ州で記者会見を予定していたが、事件を調査する下院特別委員会や米主流メディアの「偏見と不誠実さ」を理由に急遽キャンセル。その際の声明で、15日の集会で見解を述べるとしていた。集会でトランプ氏は「民主党側の不正によって選挙結果が盗まれた」との従来の強弁を繰り返した上で、「フェイクニュースは1月6日を『反乱』などと呼ぶが、本当の反乱は20年11月3日に起きた」と主張。野外集会場に集まった数千人の支持者たちからは大きな歓声が上がった。またトランプ氏は民主党のバイデン政権について、「このく国を破壊しようとしている。今が米国にとって最も危険なときだ」と非難し、今年秋の中間選挙で連邦議会の多数派を取り戻し選挙不正の有無を調査すべきだと訴えた。