国家やメディアがつくる「フェイク」について考える(3)。北朝鮮の場合
「救う会」全国協議会会長の西岡力氏の横田滋さんへの追悼文「横田滋さんの功績と被害者救出戦略」(「日本の息吹」令和2年8月号)に、次のような記述がありました。
「滋さんの戦い、私たちの戦いは一言で要約すると『嘘との戦い』だった。平成9年から戦いが始まった。最初は『拉致はない』という嘘との戦いだった。5年間戦って、平成14年に拉致を命令した金正日が『拉致をしました』と認めて謝罪し、5人を帰国させたので、この第一の戦いに私たちは勝った。『拉致はない』という嘘を打ち破ることができた。それは滋さんが実名を公表するという決断をしたからなのだ。自動的にその戦いの勝利が私たちに与えられたものではないということを強調したい。拉致を認めたその瞬間北朝鮮は二つ目の嘘をついた。『拉致をしたのは13人だけで、8人死亡して5人を返した。だから拉致問題は解決した』という嘘だった。13人だけというのは嘘だ。日本政府は17人を確実な証拠に基づき認定している。4人違いがある。たとへば曽我ひとみさんのお母さんのミヨシさんについて、『ひとみさん拉致は下請け業者にやらせたのでミヨシについては知らない』などと言っているが、母と娘が一緒にいるところを襲って連れていったのだからミヨシさんをも拉致したのは間違いない。その4人以外にも認定はできていない拉致被害者はいる。寺越事件も拉致であることは間違いない。それ以外にも被害者はいる。4人+αについて北朝鮮は認めていない。8人は死亡したと一方的に通報したが、そのうちただ1人についても死亡の証拠を出すことができない上に、生存情報がたくさんある。これも嘘だ。この二つ目の嘘の戦いが今も続いている」と。
西岡氏によれば、拉致被害者救出の運動は『北朝鮮の嘘との戦い』の連続であったと、そして『北朝鮮の嘘との戦い』は今も続いているという。困難な戦いを続けてこられた皆さんに心からの敬意を表したいと思います。金日成の時も『北朝鮮は地上の楽園』だと大嘘をつきました。日本人妻を含め9万人を超える善良な人々を帰還事業という美名のもと、『地上の地獄』へと突き落としました。『自由な往来』も大嘘でした。いまだに実現していません、連絡すら取ることができません。西岡氏の言われるように『北朝鮮の嘘との戦い』は今も続いています。
下の写真は令和2年7月29日の産経新聞一面です。「北朝鮮にスパイ容疑で拘束され、2018年5月に初の米朝首脳会談に先立ち解放された韓国系米国人博士、ドンチョル・キム氏(66)が28日までに、産経新聞の単独インタビューに応じた。キム氏は04年ごろから拘束される15年にかけて、北朝鮮で自分の意思に反して留め置かれている『日本人7人前後とひそかに会った』と証言。大半が北朝鮮に『騙されて来た』と説明し、出国や日本の家族に連絡する自由を奪われていたと言い、キム氏は多くが『甘言による拉致被害者だ』との判断を示した」との記事です。『嘘との戦い』はまだまだ続きます。