地下鉄民営化について、産経新聞の主張「民営化を復権の起爆剤に」より。

本日5月15日の産経新聞の主張欄に「大阪の地下鉄、民営化を復権の起爆剤に」と題して、産経新聞の考えが記載されていました。内容は

「『私鉄王国』と呼ばれる関西でも、JR西日本を別とすれば最大の鉄道会社が誕生する。経済の地盤沈下を指摘されて久しい大阪にとって、復権の起爆剤として期待される。そのためにも、早期の株式上場による完全民営化を目指すべきである。・・・今でも『優良企業』 の部類だが、民営化で人員削減などのコストカットや事業の多角化が図られれば、さらなる収益増大や運賃値下げなどが期待できる」。

と今後の課題を指摘しながらも、肯定的に評価しています。

「新会社からの納税や株式配当で年間約100億円が入ると市は試算する。教育や医療、福祉などの財源に充てる考えだ」。

と市の考えも紹介してくれています。

ただ市議会の自民党の要望を受け入れたことについては批判的評価をしています。たとへば株式の上場について吉村市長任期中は上場しないとしたことや、市側に人事や事業計画などへの関与の余地を残しとことは今後新会社の足かせになると批判しています。

この点については重く受け止めるとともに、産経新聞をはじめとしてメデイアも、もっと早い段階で自民党を説得する論陣を展開していただいていたならば、ご希望のように進んでいたかもしれません。課題はあるとは言え、民営化の第一歩を踏み出したことは大きな意義があると思います。

大阪の都市制度改革の必要性について考える(27)。政令指定都市の問題点。

府県と政令指定都市には二重行政があり、労力と時間の無駄、非効率性、莫大な税金の無駄遣いを生み出している、と吉田民雄氏や橋下徹氏が指摘していることを先のブログで紹介しました。この二重行政については中央大学教授の佐々木信夫先生も政令指定都市の問題点として「5️⃣大都市圏の中核として隣接市町村との連携不十分。県との〈二重行政〉ムダが多い」と指摘しています。

佐々木教授は、これ以外にも政令指定都市の問題点として「1️⃣制度自体、包括的ツリー状ではなく、個別法で特例を積んだモザイク状〈特例制度〉。2️⃣行財政のアンバランス。税財政の仕組みは府県制のまま。昼間需要の財政措置なし。3️⃣分権改革で蚊帳の外におかれた結果、依然、三層制下にあり、県と対等ではない。4️⃣行政区は決して自治区ではない。結果、協働参画時代にふさわしくない市集権体制となっている」。と、二重行政の問題に加えて以上の点を政令指定都市の問題点として上げています。そして「従来行われてきた府県と市町村間の部分的な事務・権限再配分といったレベルを超えて、本来の大都市が持つ機能と問題解決にふさわしい大都市経営主体としての『大都市制度』を設計する段階にきている」と述べています。

政令指定都市が抱える矛盾問題点については、日本都市センター主任研究員、吉田民雄氏も『都市問題』(1992年4月号)で二重行政以外でも同じような指摘をなされています。「1️⃣(多くが)国から委任された仕事を国の下部機関として処理する機関委任事務である。2️⃣現行の大都市特例はきわめて体系性を欠くものとなっており、市民の暮らしの立場に立った総合的まちづくりを有効推進しうる構造になっていない」と。そして「この他にも、大都市特例にもとづく財政需要に対する膨大な税制上の措置不足など、『政令指定都市制度』は大都市の総合的、自立的なまちづくりの推進という観点からすると、今日の都市状況、時代の要請に応えるものとなっていない」と言及しています。