都議選を他山の石として。

今回の都議会議員選挙において自民党は57議席から23議席に激減するという歴史的敗北となり、一方都民ファーストは49議席と大躍進をしました。その背景について考えて見ますと、まず第一に長年にわたり都政改革、議会改革を怠ってきた都議会第一党である自民党の責任が糾弾されたと言うことがいえると思います。反対に改革を掲げた小池氏に都民の期待が示されたということです。オリンピック経費の問題や豊洲市場を巡る、都民が知らされていない、いや議会でさえ知らされていなかったという都政の闇の部分が露わになり、都民の都政への不信が頂点に達し、その責任を求めたということだと思います。信頼が裏切られたという都民の思いが、責任与党である自民党の大敗北という結果をもたらしました。

さらにもう一つの理由は、都議会自民党は小池知事になってからも、改革に背を向け続けてきたことであります。1年前の都知事選の敗北を謙虚に受け止めて、小池改革に協力するとともに、都政・議会改革も率先して行わなければならなかったにも関わらず、相変わらず反対のみに終始してきた。このような姿勢がまた糾弾されたのだと思います。しかし、このことは他山の石として我々も常に心に刻まなければなりません。

また国政での安倍政権の緊張感のなさと、森友問題や加計学園問題での逃げ腰の姿勢が批判され、今回の結果につながったと思われます。選挙結果が判明したあと、安倍首相は、国民への丁寧な説明と、政権に復帰した時の謙虚さに立ち返るとの約束をしました。その実行を見守っていきたいと思います。

逃げたら負けます。立ち向かってこそ勝機が生まれてくるのではないでしょうか。

 

今、注目の共産党について考える(51)。共産党に民主主義はあるのか?(2)。

この問題についてはもう一人、元共産党幹部の筆坂秀世氏に登場してもらいます。共産党内部に長くいたので、事実と経験に基づいており、説得力があるからです。昨年6月に月刊誌Hanadaでの対談で筆坂氏が登場します。筆坂氏の発言から引用します。「党内民主主義などありません。共産党では横の連携は厳禁で、あるのは縦系列の指揮系統のみです。しかも党内の問題を党外に持ち出してはならず、党内で幹部の悪口を言おうものなら袋叩きにされてしまう」「共産党は民主集中制ですから上から作る党で、下からではありません」と、やはり共産党内は民主主義とは無縁であると述べています。

民主主義と無縁である「民主集中制」を行っているその理由について、筆坂氏は「宮本さんも12年、不破さんも計16年と長いですよね。その理由は、共産党特有の『幹部防衛』という考えにあるんです。党の方針として『幹部政策』を掲げているのは共産 党ぐらいでしょう。幹部さえ防衛すれば党はどんな弾圧を受けても再生できる、と『幹部防衛』を非常に重視し、鍛え抜かれた幹部は20年、30年と委員長を務めても、鍛え抜かれた指導者だからいいんだという考えです。昔の規約にあったように下級は上級に従い、個人を組織の上に置いてはならないという原則は今も変わりません」といっています。このことから共産党は革命政党であり、革命という目的を達成するために組織されたのが共産党であるということがよく分かります。共産党にとって革命(資本主義社会を倒して共産主義社会をつくる)が至上命題であり、そのために「民主集中制」という鉄の結束をはかるための独裁的組織原則が打ち立てられているということであります。

一般の共産党員がこの非民主的組織原則に甘んじているのは、一つには革命達成という目的意識があるからと推測できます。それともう一つの理由について筆坂氏は「専従職員は共産党から給料をもらっており、党に逆らうことは職を失うことを意味するので、上から言われて『これはおかしいな』と思っていても黙っていようとなってしまう」と説明しています。これは本音でしょうね。一般党員にすれば現実はこちらの理由の方が比重は大きいと思いますね。

産経新聞出版の「日本共産党研究」には「中国や旧ソ連を見てもわかるように、『上意下達』『中央集権』『異論排除』という民主集中制は、指導者層の絶対的な権力によって党内の反乱を防ぐためのものであり、明らかに『組織防衛』のための制度なのである。日頃は『少数意見を守れ』と主張し、軍隊主義的な上意下達を批判している共産党こそが最も少数意見をないがしろにし、一部の指導者層を頂点にした強固なピラミッド組織を形成しているのだ」と書かれています。すでに共産党の本当の姿を見破っていますね。産経さんお見事。

しかし残念ですが、世間では共産党は民主主義の旗手という印象操作が成功しているように思います。民進党のように民共連携に御熱心な政党も出てきたりして、極めて残念であります。しかし真実は真実、事実は事実として伝えていかなければなりません。