日韓問題について考える(19)。「左派メディア」の質問に対する李栄薫氏の答え。

信濃毎日新聞記者の質問に対する答え。

「私は、長い研究生活を通じ、1905年から10年までの日本と朝鮮についてたくさん考えてきました。大韓帝国の滅亡と日韓併合は20世紀の東アジアを歴史的に決定する大きな変化でした。日本もその後、帝国主義に入っていった。日本は大陸に進出し中国は共産化しました。私は、大韓帝国が滅亡したことは韓国人の歴史的な責任もあると考えています。(戦後精算については)いろいろな研究があるので、私があえて話す必要性は感じません。この本はあくまで、韓国人による自己責任と韓国人による自己批判の本なのです」。

朝日新聞記者の質問に対する答えは。

「2005年から07年にかけ当時、日本労務者だった人物約50人近くにインタビューしました。また、この本が出た後、多くの人たちが李承晩学堂のホームページや書評を通じて、自分の親戚や父や祖父が日本の労務者として働きに出た自身の家系の記憶について書いてくれました。それらを集約し資料と照らし合わせると、彼らが奴隷として働いたというのは、非常に誇張されたものだと思います。非常に政治的なグループによる強い主張が歴史を塗り変えてしまったと感じています。東京大学の外村さんの本は私もよく存じ上げています。素晴らしい研究者だと思います。しかし、募集と官斡旋も含めて強制連行であるとしてしまうのは行き過ぎだと考えています。それは韓国人を奴隷と貶めてしまう危険な考え方です」

共同通信記者の質問に対する答えは。

「『反日種族主義』をどんな読者、対象に向けてかということですが、正直言いまして、そういう考えをしたことはありません。韓国人全体に向けて書いたものです。韓国人が知っている歴史観のどこに問題があるのか指摘した、ということです。その病の根源を読んでもらいたかったのが出発点です。韓国の書店の分析では本を買っている人たちに30代が多いそうです。韓国で30代、40代は反日教育を受けており、50代、60代より、反日感情を持っています。私は、歴史はゆっくりした速度で進歩していると見ています。日本の読者層についても考えたことがありません」

以上久保田るり子氏の『正論』への寄稿文から引用させていただきました。つぎに日本経済新聞OBの方の質問とそれに対する李栄薫氏の答えを紹介したいと思いますので引き続き引用させていただきます。

日本経済新聞OBの質問

「私が韓国に赴任していた80年代は慰安婦問題がありませんでした。その後、88年にソウル五輪が開催され、当時われわれは韓国が豊かになれば日本に対してもう少しおおらかになるのではと期待していた。しかし、韓国は大きくなればなるほど反日が強くなっている。これはなぜだとお考えですか」。

これに対して李栄薫氏は、

「50年代から80年代まで韓国は高度成長しました。50年代から63年までは毎年10%成長を成し遂げました。李承晩、朴正煕、全斗煥と日韓協力はうまく進みましたが、88年の韓国民主化によって思想の自由がもたらされました。韓国ではそれ以前、マルクス主義に言及することさえ不可能でしたが、88年からそれが許されました。そこで押さえつけられていた政治勢力が一気に噴き出してきました。その中に大韓民国の建国に反対するものが多く含まれていたのです。彼らは親日派が大韓民国を作ったと考えてきた人々です。そういう反対勢力の政治的影響力が次第に増していき、93年に金泳三時代となり、それ以後、私がこの本で書いた反日種族主義の感情が韓国を支配してきたのです」と答えています。

日韓問題について考える(18)。「左派メディアの歯ぎしり」毎日、朝日、共同通信の反応。

『正論』新春号に久保田るり子氏の『「反日種族主義」があぶり出したもの、左派メディアの歯ぎしり』と題する記事が載っていました。来日された李栄薫氏に対し日本のメディアがどのような質問をしたのかを詳しく報じています。「左派メディア」のエリートたちは一体どのような質問を李栄薫氏に浴びせたのでしょうか。

信濃毎日新聞記者の李栄薫氏への質問は以下の通りです。

「韓国人の反日感情分析には非常に納得する部分があったが、この本には植民地支配の日本の責任についての記述があっさりというか、あまりないと思った。日本の植民地支配の責任はどれくらいあるのか。それに対する戦後精算のあり方、支配の清算の仕方はどうあるべきと考えておられるのか」。

朝日新聞記者の李栄薫氏への質問は以下の通りです。

「この本にはいくつか問題がある。まず、徴用工の問題です。法律的に1944年9月から徴用が施行された。それ以前は募集、官斡旋という段階があって、ここでは拒否できたとか法的に罰せられることはなかったとかいう記述があるが、これは当時の実態を反映していない。単に法律にはそう書いてあるということであって、(徴用工強制連行説の)東大の外村先生(外村大・東大教授)の研究などたくさんあるわけだが、それに対しての反論ならば、もう少し根拠を示すべきだ。それが全然ない。それから(徴用工が)奴隷生活をしなかったというところですけれども、例えば自由で花札をすることができたとか、酒を飲んで外に出ることができたと書いてあるけれども、それはほんの一部であって、しかもその部分のなんの根拠も示していない。これは問題じゃないかと思う」。

共同通信記者の李栄薫氏への 質問は以下の通りです。

「この本はどういう読者を意識して書いたのでしょうか。韓国ではどういう読者、日本語版はどういう読者でしょうか。今の文政権を支持する層に『嘘つきだ』といっても説得はできないでしょう。敵を説得する議論になっているのか、なっていないのではないか。結局、仲間のために書いたのではないかと思ってしまうが・・・」「日本に向けてはどういう読者に向けて書いているのか、今のところ保守系メディアで取り上げられているが、それでは言論として広がっていかないのではないかと思う。どういう読者に、誰に向かって説得しようとしているのか」。以上です。

私も李栄薫氏の記者会見を見ていましたが、改めて日本メディアのなかで「左派メディア」と言われる記者たちの質問を読んでみますとその狼狽ぶりがよくわかります。なにしろ李栄薫氏らの実証的研究によって「強制連行説と性奴隷説は日本で作られたものです。ある日本人は、朝鮮の女性を強制連行した自身の犯罪を告白する懺悔録を書きました。ある歴史学者は性奴隷説を提起して、韓国の研究者と運動団体を鼓舞しました。彼らは韓国の社会史、女性史、現代史に対して何も知らない状態でした。彼らの韓国社会と政治に対する介入は不当であり、多くの副作用が派生した」と指摘されたのですから、歴史の捏造、事実の捏造に関わってきた日本の「左派メディア」や「左派学者」たちが「歯ぎしり」するのも無理もありません。また徴用工問題においても李栄薫氏は「慰安婦問題のときと同様、いわば『良心的』日本人が彼らを物心両面で支援しましたが、結果的には両国の信頼・協力関係を阻害するのに寄与しただけです」と非難しています。「この本は日本のいわゆる進歩的知識人に反省を促す意味もあります。日韓の左派たちは連合してきました。慰安婦問題をはじめ、土地収奪論も徴用工強制労働も日本発で“歴史の神話”がつくられてきたのです。そして結果的にそれは、日韓関係を悪化させる役割しかなかったのです」とも語っています。

日本の「左派メディア」の人々、「左派学者」の皆さん、もうこれ以上歴史の捏造に加担するのはやめよう。もうこれ以上「両国の信頼・協力を阻害する」のはやめよう。あなた方が歴史の捏造に加担し、信頼関係を破壊してきたことは李栄薫氏らの実証的研究によって白日のもとに晒されました。真実が明らかになってきました。もうあなた方の意図・目的を達成することはできません。やめましょう。

しかし残念なのは、責任が重いメディアであるにもかかわらず、質問した記者が誰なのか分からないのは残念であります。透明人間の質問もやめましょう。