【有村治子参議院議員】教育現場のみならず、米国議会でも動きがあります。一昨年上院の国土安全保障政府問題委員会は米国の教育制度に対する中国の影響について公式な報告書を発表しています。孔子学院について、この報告書ではどのような指摘がなされていますか?続けて外務省にお伺いします。
【外務省有馬参事官】お尋ねの報告書は米国上院国土安全保障政府問題委員会の常設調査小委員会において2019年2月に公表されたものでございます。報告書では第一に、中国政府が孔子学院に関連して米国教育界に対し1億5千万ドル以上の 資金を提供してきたこと。 第二に中国政府が孔子学院の予算、教育内容、採用といったほぼすべての側面を管理していること。第三に、孔子学院の教職員は中国の国益を擁護するよう 制約していること。第四に、一部の学校との合意では契約内容を非公開とする条項が付されているが、学問の自由を確保するために契約内容は公開されるべきことなどが記されております。また米国国務省は査証が申請された際に、孔子学院との関係を記録しておらず、結果として孔子学院に関連する中国籍のものどれだけ米国内にいるかを把握していない、とも記されております。さらに中国政府から一定額以上の資金を受領した学校のうち7割近くが義務に反して教育省に報告せず、教育省もそれらに対応できていないこと等が、記されております。
【有村治子参議院議員】ありがとうございます。この報告書を公開した上院では今年3月、孔子学院についての管理を強化するための法案を、与野党全会一致で可決をしています。米国議会での警戒感と相まって、ホワイトハウスも動いています。昨年夏トランプ政権においてポンペオ国務長官は、孔子学院が中国共産党による世界規模のプロパガンダ、政治宣伝工作に使われていると、断定しました。資料3のとおり昨年10月にはポンペオ国務長官とデボス教育長官が連名で、全米各州の教育長官と全米各大学の学長に通達を出し、アメリカの教育機関が孔子学院を受け入れることの深刻な影響を国中に警告をしています。アメリカが自国の教育制度を脅かすリスクとしていかに孔子学院を警戒しているのか、その緊張感が伝わってきます。すなわち共和党政権であれ民主党政権であれ、与野党の区分なく米国の教育大臣も外務大臣も、はたまたCIAやFBIという情報捜査機関までもが、中国共産党にとって都合の良い主張と仕組みが、孔子学院によってアメリカの教育現場に浸透していることを警告し、民主主義国家としての最大級の対策を打ってきています。外務省にお伺いします。では米国以外の自由民主主義国では孔子学院についてどのようなことが起こっているのでしょうか?
【大臣官房曽根審議官】お答えします。米国以外に関しましても、報道等によりますと、カナダではマクマスター大学とサーブル副大学。フランスにおきましては、リヨン大学。ドイツにおきましてはストットガルトメディア大学とホーエンハイム大学。スエーデンにおいてストックホルム大学、こういった大学等において機関の閉鎖措置がとられていると承知しております。これらの機関を含む中国への、各国における動向につきまして、外務省としても常日頃から情報収集に努めておりまして、随時関係省庁とも交流しているところでございます。