中国共産党政府との関係を見直そう(119)。有村治子参議院議員(1)令和3年5月13日参院文教科学委員会での質疑。『孔子学院を問う』

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【有村治子参議院議員】我が国の高等教育機関における健全性を確保するために、各国の大学が直面している課題について質問します。孔子学院についてです。今年3月防衛省の防衛研究所が「東アジア戦略概観2021」を発表しました。これは日本を取り巻く東アジアの安全保障環境を学術的に研究をし、日本語と英語で毎年公表されているものです。驚くべきことに、ここに孔子学院が取り上げられています。教育部門であるはずの孔子学院が、米国の安全保障の章において詳細に分析されており、アメリカが国家安全保障上の重要課題とし孔子学院を警戒している近年の状況を日本の防衛省防衛研究所がレポートしている、という点に深いメッセージあるのではないでしょうか。孔子学院は2004年外国における中国語と中国文化の普及を図る目的で、中国政府肝煎りの国家戦略として設置されました。NGO非政府組織の形をとっていますが、実態は中国共産党、中国政府教育部を中心とした各省機能を結集させた国家プロジェクトであり、中国国内の大学と受け入れ国の大学を提携させて中国から教員や教材を各国に派遣して、世界的な規模で影響力拡大がはかられてきました。そもそも孔子学院という名前は、約2500年前の中国の思想家、孔子の名前を冠していますが、論語や儒教とは直接関係はありません。文化大革命では迫害の対象となった孔子も、現在においては世界に冠たるブランドネームとして中国共産党に重用されており、胡錦濤政権に続く習近平国家主席もソフトイメージを使った対外工作を殊の外重視しており、外遊先では積極的に孔子学院を訪問しています。資料の1と2をご覧ください。2019年現在、世界の162の国々や地域において大学レベルに設置された550の孔子学院と小中高校などに設置された1172の孔子学級が存在しています。日本においては現在、少なくとも14の大学に孔子学院の設置が確認されています。この15年ほどの間に、孔子学院は破竹の勢いで世界的な拡大をはかってきましたが、資料4、読売新聞曰く「中国のスパイ拠点警戒、米国孔子学院閉鎖、次々」という記事で、読売が報じている通り、近年むしろ各国で警戒感が増し、孔子学院の閉鎖も相次いでいます。我が国においても  拠点を閉鎖したところがあります。そこで外務省にお伺いします。中国が戦略的にターゲットにし、世界最多百十以上の孔子学院を設置されてしまった米国では様々な摩擦が起きています。米国の大学で教えている教授陣、教職員によって構成される、米国大学教授協会、及び全米学術協会は近年孔子学院に対し警告の声明を出しています。どのようなものでしょうか?

【外務省大臣官房有馬参事官】お答え申し上げます。大学教授や学識者からなる会員団体である米国大学教授協会は2014年に発した声明の中で、大学が第三者による統制を許すことは学問の自由や大学の自治の原則と相容れないとして、孔子学院と各大学との間の合意内容が適切な形で見直されない限り、大学は孔子学院との関係を断つことを推奨するとしております。また米国の非営利団体である全米学術協会は2014年度に発表した報告書の中で、米国の孔子学院には知的自由や透明性の観点から懸念があるとして、すべての大学に対して孔子学院を閉鎖するように呼びかけております。