2014年2月20の衆議院予算委員会で、山田宏衆議院議員(当時)の質問に、菅義偉官房長官は“河野談話作成過程について実態を把握し、それをしかるべき形で明らかにする”と答弁しました。
外務省は同年4月25日に「河野談話作成過程等に関する検討チーム」を設置し、その目的を、「河野談話作成過程における韓国とのやりとりを中心に、その後の後続措置であるアジア女性基金までの一連の過程について、実態の把握を行うこと」としました。そして平成26年6月20日に、『慰安婦問題を巡る日韓間のやりとりの経緯〜河野談話作成からアジア女性基金まで〜』と題する検討結果を公表しました。
この中で「日本側は関係省庁における関連文書の調査、米国国立公文書館等での文献調査、さらには軍関係者や慰安所経営者など各方面の聞き取り調査や、挺対協の証言集の分析等の一連の調査を通じて得られた、いわゆる『強制連行』は確認できないという認識に立ち、それまでに行った調査を踏まえた事実関係を歪めることのない範囲で、韓国政府の意向・要望について受け入れられるものは受け入れ、受け入れられないものは拒否する姿勢で、河野談話の文言をめぐる韓国側との調整に臨んだ」と書かれています。
そして、「韓国側との調整の際に、主な論点となったのは、①慰安所の設置に関する軍の関与、②慰安婦募集の際の軍の関与、③慰安婦募集に際しての『強制性』の3点であった」と述べ、韓国側との調整の経緯が記されています。
①の慰安所設置については、韓国側は軍の「指示」があったとの表現を求めてきたが、日本側は受け入れず、軍当局の「要請」により設置された、との表現に調整された。
②の慰安婦募集の際の軍の関与については、軍の「指図(さしず)」「軍又は軍の指示を受けた業者」という表現を求めてきたが、日本側は受け入れず、軍の「要請」を受けた業者がこれにあたった、との表現に調整された。
③の慰安婦募集の「強制性」については、韓国側は自発的に慰安婦になったとの印象を韓国国民に示すことはできないと主張し、最後までやりとりが続けられ、「甘言、弾圧によるなど、総じて本人たちの意思に反して」という文言で最終的に調整されたというとこです。詳しくは外務省のホームページをご覧いただきたいと思います。
この検討チームによる検討結果を見ますと、山田宏衆議院議員(当時)が、「配慮が当時、善意だったと思いますよ。善意の部分が多かったと思いますよ。ある程度妥協すれば日韓関係が良くなると、ところが先ほど紹介しました強制連行や性奴隷といった言葉が世界中に輸出され、それが碑文となり永遠に残る結果になりました」と言われたように、まさに河野談話は、事実関係の調査検証も行なわないまま、一方的に日本側の善意と譲歩によって作成された日韓合作の妥協の産物であったことが分かります。韓国側に都合の良いように解釈できるがゆえに、後になってこの日本側の善意が裏切られるという事になりました。石原信雄元官房副長官も国会答弁で「しかし最近韓国政府自身がこれを再提起する、そういう状況を見て、私は当時の日本政府の善意が生かされてないので非常に残念に思っております」と述べています。妥協や玉虫色決着では問題は決して解決しないということです。
また検討チームは慰安婦問題の歴史的事実そのものを把握するための調査・検討は行なっていません。河野談話は慰安婦とされる16人の聞き取り調査による心証をもとに作成されました。その結果が今日の異常な事態を招きました。
歴史的事実の調査が必要であります。山田宏衆議院議員(当時)が、「(聞き取り調査における)証言がもとで河野談話が作られ、強制性を認めたと言われているわけですから、証言内容をオープンにすべきだと思いますよ」と言われるのは当然であります。
日本政府は聞き取り調査の内容をオープンにして、それを調査・検証する必要があります。日本も韓国も真実と向き合わなければなりません。真実に基づいてこそ、両国に真の和解をもたらすことができます。