9月19日配信のNewsweek 誌、イラン出身で日本人女性と結婚し日本国籍を持つ、異文化コミュニケーションアドバイザー・石野シャハラン氏(SHAHRAN ISHINO)の〈安倍首相の辞任で分かった、人間に優しくない国ニッポン〉との指摘に大きなショックを受けました。記事の中でシャハラン氏は、
「私は決して安部首相の約8年間の政権運営全般を素晴らしいものだったとは言わない。新型コロナウイルス対策にも言いたいことはある。しかし、それでも今回の辞任表明に対する論調は冷たすぎると感じる。彼は自分の意思で政治家になり首相になったのだから、馬車馬のように働いて当然、健康も私生活も顧みられなくて当然、死ぬ気で働いて当然。多くの日本人はそんな風に考えているのだろうか」
「彼は曲がりなりにも、約8年間も身を粉にして総理大臣を務めてきた生身の人間である。彼の政治的野心や業績は脇に置くとしても、持病の悪化を押して勤めに当たってきたのはどれほどつらいものか、そのせいで辞任するのはどんなに悔しいものか、想像するに余りある。病気は彼のせいではない。それを『溺れる犬は石もて打て』とばかりに責め立てるのは、人として冷酷すぎると私は思う」
「私は日本社会が、病気を持つ人も、障がいのある人も、老いも若きも、等しく大事にされ尊重される社会であってほしい。日本人が概して勤勉であることはよく理解しているが、病気や家庭の問題などで職務を十分に全うできない人に対して、時に厳しすぎる。日本の会社や学校で、そんなにひどい病気じゃないでしょとか、根性を出せとか、怠けているんじゃないの、というような心ない言葉を何度も聞いてきた」
「なんて優しくない社会なのだろう、と思った外国人や外国にルーツを持つ日本人は私だけではないと思う。多様性だ、ダイバーシティだと声高に言われるが、それは異文化や宗教、外国語に限った話ではない。たとえ意見の合わない他人でも、体調の悪い人をいたわり、孤立している人には何かできることはないかと言葉をかけること、それが多様性のある社会への第一歩である」
この言葉は、私を含め日本の政治家やメディアは肝に銘じなければならないことだと思います。