国家やメディアがつくる「フェイク」について考える(6)。日本のメディアの場合(2)

 過去のメディアによる「フェイク」事件で思い浮かぶのは、朝日新聞の環境問題に関する報道事件(平成元年4月20日付朝日新聞)です。「地球は何色?サンゴ汚したK・Yってだれだ」と題する記事が新聞記者の自作自演であったという事件であります。「自然環境保全法違反」が疑われる、信じられない事件でありました。サンゴ礁を故意に傷つけ、サンゴを汚したのは誰だ?と”行為者”を非難し、環境保護を訴えるという記事です。尋常では考えられないですね。このとき朝日新聞は『おわび』と題して「朝日新聞東京、名古屋本社発行の4月20付夕刊、西部本社発行の同22日付夕刊各一面に掲載された沖縄・八重山群島西表島のサンゴ礁の落書きを扱った写’89『地球は何色?サンゴ汚したK・Yってだれだ』に関し、地元の沖縄県竹富町ダイビング組合から『サンゴに書かれた落書きは、取材者によるものではないか』との指摘がありました。本社で調査をした結果、取材に行き過ぎがあったことがわかりました」と述べました。朝日新聞東京本社編集局長の伊藤邦男氏は「お叱りは当然であり、深刻に受けとめております」「どんな目的があろうと、新聞人として、事実に手を加えるなどは許されることではありません」と述べています。写真は平成元年5月16日の朝日新聞です。

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 しかしその後、この『おわび』の精神は生かされたのでしょうか?