中国共産党政府との関係を見直そう(109)。『悪人』として排除されるのは誰か?

新型コロナウイルス感染症は武漢で発生し、世界全体に計り知れない惨禍をもたらしました。武漢で止められたはずのコロナウイルス感染症が何故全世界に拡散したのでしょうか。そのキイポイントとなるのが1月7日、中国共産党政治局常務委員会議の対応であります。あの時、習近平氏がきちんとした指示を出していれば、パンデミックは防ぐことができたことでしょう。1月7日の中国共産党執行部の誤った判断と指示が結果として全世界をパンデミックに陥れました。

矢板明夫氏によれば、1月7日習近平氏は「武漢市で新型コロナウイルスの感染が起こっているみたいだけれど、春節に影響を与えないように、騒がないようにしましょう   」という指示を出したと、石平氏との対談本で語っています。武漢市はその命令を忠実に守り、何事もないように事態を隠蔽し、両会といわれる議会が開かれていたにも関わらず感染症についての報告はなく、武漢市民も万家宴に酔いしれていました。その結果ウイルスは武漢・湖北省全体に蔓延してしまった。感染症の権威・鍾南山氏の報告により事態の重大さに気付いた習近平氏は1月20日、「新型コロナウイルスと全力で戦う」との指示を出し、23日に武漢市を封鎖しました。しかし習近平氏は此の期に及んでもWHOのテドロス事務局長に非常事態宣言を回避させ、中国共産党の取り組みを絶賛させました。このように習近平氏と共産党指導部は自らの責任回避に奔走します。そして1月7日に出した習近平氏の国家主席としての指示の内容を、急遽「新型コロナウイルスにきちんと対応しなさい」という内容へと公文書を改ざんし、責任はこの指示を守らなかった武漢市と湖北省幹部にあるとして、責任を押し付けようとしました。実際多くの幹部が処分されました。しかし無実の罪に陥れられた武漢市長は1月27日、責任の所在は習近平氏と共産党指導部にあると記者会見で反論しました。

矢板明夫氏は「中国では、大きな災害や混乱のあと、必ず政治の清算が始まります。というのも、中国共産党は永遠に正しいことになっているので、もしも問題が起こったならば、それは誰か悪人がいて、そいつのせいだということになる。その『悪人』を排除することで、また共産党の正しさを維持するのです」と指摘する。共産党は無謬でなければならない、と。そう言えば日本共産党も無謬の政党ですね。その共産党無謬のために、『悪人』として排除されかけたのが周先旺武漢市長。しかし矢板氏は、武漢市長は「胡錦濤の側近」であり「また、彼が国営中央テレビのインタビューを受けた1月27日は、李克強が武漢市に入った日なんですよ。だから、まず李克強と会って、それからインタビューに答えたことになる」「そして、周先旺はいまだに失脚していない。これは、李克強たちが守っているわけです」と言う。

共産党無謬のために、誰が『悪人』として排除されるのか、熾烈な闘争は今も続いているようです。