少し前の話になりますが韓国紙の中央日報日本語版は、6月18日の首相記者会見を「安倍氏、韓半島の緊張を理由に『敵基地攻撃能力保有も検討』」と題して報道していました。日本のメディアも敵基地攻撃能力保有問題については報道していましたが、日本のメディアで一切触れられていない首相発言が報道されていました。
それは韓半島有事の際、韓国にいる日本人の救出についてであります。
「北朝鮮の開城にある南北共同連絡事務所の爆破により韓半島で緊張感が高まっている状況で、日本の安倍晋三首相が、韓半島有事の際に韓国にいる日本人たちが脱出できるよう、米国と緊密に協力していると18日、明らかにした。安倍首相は同日、首相官邸で行われた記者会見で『有事の際、韓国にいる日本人の脱出のため、自衛隊輸送機が着陸できるかどうか。あるいはどのような計画があるのか』と問われ、このように答えた。同首相は『在外日本人の安全を確保するため、さまざまな出来事に対応できなければならない。その中で、同盟国である米国とも非常に緊密に協力している』と答えた。さらに『以前にも韓半島で緊張が高まったことがある。このような状況で日米、日韓、日米韓が緊密に協議していく計画に関して確実に準備することが重要だと認識している』とも述べた。しかし、『日本人脱出計画はどのくらい進んでいるのか』という質問には、『相手国もあるので、ここで言うのは差し控えたい』と言葉を慎んだ」ということでした。
日本国内では、防災についてのマニュアルは事細かく策定されているのに、韓半島有事に際しての在韓日本人救出問題について、この程度の首相発言では納得できません。外務省の平成30年の国別在留邦人数によれば韓国は第10位で、3万9403人となっています。平和な世界は誰もが望むことですが、「北朝鮮崩壊」については長谷川慶太郎氏をはじめ多くの有識者がその危機の到来を予言、あるいは予測しています。朝鮮半島有事は日本の危機管理上当然想定しなければならない問題であります。そのとき韓国にいる約4万人の在留邦人を如何に救出するか、大問題であります。具体的計画はあるのか、ないのか?検討中なのか、検討もしていないのか?韓国政府と協議しているのか、できていないのか?韓国は協力的なのか、非協力的なのか?日米韓での協力体制はできているのか、いないのか?などなど、首相記者会見だけでは全くわかりません。国会も政府任せではなく、真摯な議論を交わし具体的計画を策定しなければなりません。必要があれば日韓議連、日米議連など議員外交を行うべきであります。そして日本のメディアも最大の関心を払うべきであります。危機はすぐそこに来ています。