中国共産党政府との関係を見直そう(75)。「戦後」の世界について考える(12)。中国共産党政府に未来はあるか?

中国経済は瀕死の状態

共産党の崩壊は時間の問題

ー長谷川慶太郎『中国は民主化する』(2020.3.26初版)よりー(1)氏は2019年9月3日、91歳で他界されました。謹んでお悔やみ申し上げます。

中国政府発表の統計はインチキ

「まず、指摘しておきたいことは、共産主義国家である中国当局が発表するここ数年のGDP統計はインチキだという点です。中央政府はGDP成長率が6.0%台をキープしていると発表していますが、実態はもっと低い数字、具体的には2〜3%、悪ければマイナスではないかと私は見ています」

国家財政の悪化》ー国有企業の限界、在庫の山・粗悪な品質ー

「生産規模を縮小している代表格には鉄鋼メーカーが挙げられます」「鉄鋼会社は赤字続きのゾンビ企業が多く、こうした企業は本来なら倒産させないといけません。しかし、いまだ本格的な倒産ができません。生産調整がうまくいっていないので、鉄鋼はもちろん、セメントなど産業資材についても在庫の山が形成されています」「資本主義の企業なら、普通、こうした事態になったら生産調整するでしょう。しかし、中国の大手鉄鋼メーカーは国有企業であることから、それができないのです。国有企業で働いている労働者をリストラするのも、ご法度となっています」「全国人民代表大会で決定した経済成長率の達成を目指して、中国企業は生産を増やさなければなりません。中国にとっては成長率がすべてですから、作っている製品・商品が売れようが売れまいが、それは関係ありません」「国有企業が作る製品は売れないのに、どうして生産するのでしょうか。それは前述したように中国は『計画経済』だからです。そこに共産主義の矛盾があります」「共産主義の下、中国は多量な不良在庫を抱えてきましたが、それはもう限界を超えています。物が売れていないのに、従業員には給与を払わないといけないならば、企業はその分、赤字になります。赤字はこれまで国家が補填してきましたが、これが国家財政悪化の元凶となっています」

高い失業率

「ではいったい、中国全体の失業率はどれくらいなのでしょうか。正確な数字は出ていませんが、私は全労働者の約40%と見ています。地方都市だとあるいはもっと高いかもしれません。ちなみに東北三省だけでも大体1億人ぐらいの失業者がいると言われています。これは、ほぼ日本の人口に匹敵する規模です」

多額の借金》GDPの6倍以上の借金、返済地獄

「現在、中国の負債総額はいくらあるのでしょうか。いろいろな数字が出ていますが、私はGDPの約6倍の借金が中国にあると見ています」「現在、中国政府はこれにはあまり触れず秘密にしていますが、風船が破裂する寸前のようです」

所得格差

「鄧小平は『先富論』を唱えていました。これは『先に豊かになる者はなれ。そして豊かになった者が、貧しい者を助ければいい』というものです。しかし中国では、先に豊かになった者は貧しい者に手を差し伸べませんでした。『先富』から『共富』への調整がうまくいっておりません。豊かになった者は、より豊かになり、貧乏人はさらに貧乏になっただけでした。本来、共産主義国家では、国民は平等であるはずです。つまりジニ係数はゼロに近くなければなりません。しかし不平等感が今、中国市民の間に広まっています」「ですから共産党の崩壊は、時間の問題だと私は考えております」

〈詳しくは長谷川慶太郎氏の本を読んでいただきたいと思います〉