中国共産党政府との関係を見直そう(65)。「戦後」の世界について考える(2)。

・湯浅博の世界読解(産経新聞 令和2年5月1日)より。

【不可逆的なデカップリング】

北京大学の著名な政治学者、王繾思教授は米中関係が最悪のレベルに達し、経済と技術の米中デカップリング(分離)は「すでに不可逆的である」とまで述べている。中国に医薬品成分の大半を依存する米国は、共和、民主の両党一致で国内の医薬品増産を奨励する法案を出す。

【コスト高受け入れ覚悟】

フランスのマクロン大統領は中国依存から自国生産に切り替える品目をあげ、英国の閣僚からは、中国通信機器大手、華為技術(ファーウエイ)の第5世代移動通信ネットワーク導入を見直す声が出てきた。

安倍晋三首相はさらに踏み込み、習近平国家主席の訪日延期が決定した3月5日、緊急経済対策でサプライチェーンの再構築に乗り出している。首相が議長を務める「未来投資会議」で、付加価値の高いものは生産拠点を日本に回帰、そうでないものは拠点を東南アジアなどに移して多元化する企業への支援を明示した。

だが多くを西側製品とするには、消費者がコスト高を受け入れる覚悟が欠かせない。果たしてあなたは、安いが安全の疑わしい中国製品と、高くつくが安全な国産のどちらを選ぶか?

・経済評論家の渡邊哲也氏はケント・ギルバート氏との対談の中で、

日本政府は緊急経済対策の一環として、企業の国内回帰の支援に2400億円を投入することを決めました。国内回帰なら中小企業は費用の3の2、大企業にも2分の1を補助。マスクや人工呼吸器、防護服など緊急性の高い製品については、補助率がそれぞれ4分の3、3分の2に引きあがる。それ以外にも、企業のマスク製造設備への投資を支援します。