中国共産党政府との関係を見直そう(32)。中国共産党、「詫びるどころか恩に着せる」。

令和2年4月2日付の産経新聞、『湯浅博の世界解読ー詫びるどころか恩に着せるー』より一部を紹介します。前回(31)の続きであります。

中国共産党はこれまで、ウイルスの発生を数週間以上も隠し、真実を語った医師を黙らせ、記者を投獄し、科学調査を妨害してきた。その結果、中国人民と世界の人々の健康を害し、多くを死に至らしめ、経済社会を大混乱の中に陥れた責任は免れない。不都合な真実を隠そうとするのは、全体主義の本性なのだ。苛立ちの矛先はまずメディアに向かった。米3紙の記者追放は、武漢ウイルスの感染拡大を独裁政治の限界として論評することは、決して許さないとの意思表明だ。その後の記者追放をめぐる米中の応酬は、まるで米ソ冷戦時代を彷彿させた。

習近平政権による明確な反転攻勢は、3月に入ってからだ。新華社が4日に、「世界は中国に感謝すべきだ」として、珍妙な論説を流し始めた。武漢ウイルスが米国に飛び火し、3つの州が緊急事態宣言をしたことを取り上げ、中国はウイルスの制御に成功したが、「代わって米国は猛烈な嵐の中にいる」と論評した。さらに論説は、トランプ政権が世界の企業に中国のサプライチェーンを断ち切らせようとするなら、報復として医薬品の対米輸出を禁止し、「米国をコロナウイルスの荒海に投げ込む」と恫喝した。・・・・・論説は結論として、中国が世界にウイルスと闘うための貴重な時間を与えたのだから、「米国は中国に謝罪し、世界は中国に感謝する必要がある」と倒錯した論理を用いる。山本夏彦流にいうと、詫びるどころか恩に着せる。