まず、今回の韓国に対する輸出規制強化について、元・在韓国特命全権大使の武藤正敏氏は次のように述べておられます。
『まず、この問題は輸出管理の問題であること。金正恩委員長のご機嫌ばかりと、北朝鮮の制裁破りを黙認し、場合によっては助長する政策をやめ、北朝鮮の核ミサイル、生物化学兵器の開発を制止する姿勢を明確にするべきだ。そして韓国企業で北朝鮮に加担する企業があれば、これを取り締まることである。今回の問題は、「元徴用工」問題への報復ではない。しかし、これまで日本が韓国をホワイト国として遇していたのは、韓国と戦略的価値を共有し、信頼できる友好国として扱ってきたからである。韓国が日本との信頼関係を回復し、再び友好国となるには、1965年の国交正常化の際に合意した事項を、誠実に順守する姿勢が重要になってくる』と、
このように述べておられます。私もその通りだと思います。課題を克服して、日韓両国が再び「信頼できる友好国」となることを切に願うものです。しかしなぜ、韓国は常識が通じないような状態となってしまったのでしょうか。何故、日韓関係がかくも深刻な状況にまで至ったのでしょうか。
ちょっと古い話になりますが、今から15年前の平成16年11月に発行された新しい歴史教科書をつくる会機関紙【史】に掲載された西岡力氏の寄稿文を紹介します。西岡氏は、韓国の若者に刷り込まれた「反日史観」「反韓史観」は北朝鮮の政治工作の成果であると指摘しています。
『韓国の李承晩大統領は日本時代、米国に亡命していたが、韓国軍の将軍たちは日本の士官学校を出た人たちが大部分で、警察や行政機関の専門家も日本時代に専門知識を身につけた者が多かった。彼らは、日本時代に学んだ専門知識で大韓民国のために尽くした人たちであり、韓国建国に貢献した愛国者だ。そしてその代表が朴正煕大統領だった。満州の士官学校と日本の陸軍士官学校を出ている。北朝鮮は「李承晩派は親日派処罰をきちんとせず、朴正煕大統領が親日派だったから、大韓民国というのは生まれたときから穢れている」と、韓国の若者に刷り込む「反日史観」「反韓史観」を20年間広めてきて、盧武鉉大統領がその流れに乗って当選した』と。
15年も前から西岡氏は北朝鮮のイデオロギーでの政治工作を指摘していましたが、それ以降も北朝鮮による工作は続けられてきたことは容易に想像されます。この流れの延長線上で誕生した文在寅政権は「反日史観」「反韓史観」の結実と言えるでしょう。韓国はこの流れに完全に飲み込まれてしまうのでしょうか。
しかし同時に西岡氏は、
『日本はさすがに慰安婦問題で「こんな馬鹿なことがあるか!事実とあまりにも違う」とみんなで怒り始めて平成9年に「つくる会」ができて、巻き返し押し返す運動が始まった。韓国でも昨年以降、反金正日・親米の愛国勢力が左翼政権・自虐史観に対して、このままでは国がつぶれると危機感を強め、巻き返しの運動が始まった』。
韓国での新しい動きについて紹介していました。韓国でも、日本の「つくる会」のような、知識人達の取り組みが国家存亡の危機意識の中で誕生し、運動が始まっているということでした。15年前に誕生したこの「反左翼政権、反自虐史観」の運動は、今日大きな潮流となって来ています。その声が私たちにも聞こえるようになってきました。そして今、正念場に来ているのがわかります。