大阪市と大阪府は、学校法人・嘉悦学園(東京都江東区)から提出された、「大阪都構想」と「総合区」の両制度に関する経済効果の調査報告書を、平成30年7月11日公表しました。
毎日新聞は翌日の7月12日にこの調査報告書を取り上げ、「都構想では広域行政が一元化され、制度移行後の10年間で歳出を抑制できる額は最大1兆1409億円とし、総合区では最大712億円。数字の根拠をめぐる議論が焦点になる」と報じています。
都構想の制度設計を担う、いわゆる「法定協議会」では、自民党はこの経済効果についての調査報告書を議論しないと主張し、結果報告書は未だに「法定協議会」に提出されていません。したがって残念ですが調査報告書を巡る議論は「法定協議会」では未だになされておりません。予定もありません。
一方、大阪市議会においては、さる9月18日に大都市・税財政特別委員会が開催され、この経済効果についての調査報告書を巡って議論が交わされました。毎日新聞は、維新の会を除く他会派から『都構想「1兆円歳出削減効果」に批判が集中』との見出しで報道しました。以下議論の中身について毎日新聞の報道から紹介したいと思います。
「公明党は『恣意的で到底信用できない』と撤回を求めた。『仮定の置き方で効果額はどのようにでも変えられる』。公明の杉田忠裕議員は、府・市の事務局が特別区素案で示した行政サービスや職員体制が考慮されていないと指摘。分析など調査手法にも問題が多いとし、直ちに市のホームページから削除するよう求めた」と。
「自民や共産も『東京と大阪の生産力の差』や『府・市の首長の意志の合致が事業の実現性に及ぼす影響』など、報告書が根拠とする考え方や数値の扱いを追求した」と。
以上、維新の会以外の会派の主張を報道しています。
大阪市の副首都推進局の答弁は、「こうした批判に『合理性を書くものではない』『理論的に生み出される可能性のある数字が学術的に示された』と繰り返した」と報道しています。
私が非常に残念に思うのは、議論が交わされたのが、議員と調査を委託した大阪市(副首都推進局)との間でのやり取りに終始したことであります。大阪市からの調査委託を受け、調査報告書を提出したのは嘉悦学園でありますので、調査報告書を巡っては嘉悦学園との議論があってしかるべきでありますが、そうならなかったことは残念でなりません。結果、議論の空回りが多かったように思います。単なるパフォーマンスだと言われないようにするためにも、嘉悦学園との議論は必要ではないかと思います。それと「法定協議会」での議論も必要ではないでしょうか。橋下時代にはあれほど経済効果にこだわったのに、「都構想1.1兆円、総合区712億円」という経済効果に関する報告書が出るや、今度は反対に議論から逃げようとしていると思われてもしょうがないのではないでしょうか。