大阪都構想の必要性について考える(57)。「政令指定都市制度」について、政令指定都市はどのように考えているのか。

ここに平成21年3月に政令指定都市市長会がまとめた「第2期地方分権改革に関する指定都市の意見」(第4次提言)という資料があります。その中に政令指定都市制度に対する評価の記述があります。

「現行の指定都市制度は、50年以上も前に『暫定的な措置』として創設された特例的・部分的で一体性・総合性を欠いた事務配分となっている。それに見合った税財源措置がなされていない、道府県との役割分担が曖昧となっているなど、あまりにも多くの課題をかかえている」と指摘し 、国に対して

「大都市の実態に即応した税財政制度を含め、『大都市制度のあり方』について早急に検討すること」を求めています。

そして検討にあたっては「広域自治体から独立して存在する『特別市』や『大都市州』なども含め、様々な制度を視野に入れて検討を行うべきである」としています。

政令指定都市自身が、政令指定都市制度の限界を認め、新たな大都市制度を模索しているのがよく分かります。ただ、ここでは府市の再編を伴う『大阪都構想』のような発想はなく、『特別市』や『大都市州』を求めていることから、道府県から政令指定都市に財源と権限をさらに集中させることを考えています。そして、さらには

「従来、国、都道府県が対応することとされてきた大都市地域の課題であっても、大都市自身が周辺の市町村と連携しながら処方箋を用意するという役割を付与すべき」とも記されています。大都市が道府県に取って代わるとでもいうことなのでしょうか。

本来、道府県や周辺の市町村に入るべき税金を大都市に優先配分することによって、自身や周辺の都市問題が解決し、さらには少子高齢化という「国難」に対応できるとでもいうのでしょうか。はなはだ疑問であります。道府県の役割、市町村の役割等については明記されておりませんので、これでは単に政令指定都市の財政難から生まれてきた狭小な発想のようにしか思えてなりません。それは次のような要望を掲げていることからもわかります。

「このような大都市特有の財政需要が歳出増の要因になっているが、大都市特有の財政需要に対応した税財政制度が確立していないこと、事務配分の特例に対応した措置が不足していることなどから、自主財源による歳入の確保は難しい状況にあり、債務の増大を招いている。大都市は裕福ではなく、財政状況は全国と比較して厳しい状況にある」と主張しています。

政令指定都市市長会の要望には、「無駄を無くす」とか、都市の成長によって「自ら税収を稼いでいく」とか、「住民自治を拡充する」といった発想は全くないのでしょうか。ここに『大阪都構想』との根本的な違いがあります。