「(今年の)2月19日、習主席は中央テレビ局など三大メディアを視察し、メデイアは党への忠誠に徹すべきだとの訓示を行なった。それに応じて、三大メデイアは一斉に『メデイアは共産党のものだ、党に絶対の忠誠を誓いたい』と宣した」。この文章は昨年のHanda7月号に掲載された石平氏の寄稿文から引用しました。国内ではメデイアと国家権力の関係についていつも大きく取り上げる日本のメデイアは、如何なる理由があったのか一切報道しませんでした。
中国と違って、日本でもし総理大臣がこのような発言を行なったならばどうなるでしょうか。新聞、テレビなど報道機関は総反発し「言論弾圧は許さない」「言論の自由を守れ」の大合唱となるでしょう。また、そのような「独裁者」の退陣を求めることとなるでしょう。どうも日本のマスコミは中国であれば批判せず、日本国内であればやりたい放題という二重基準を持っているようです。
二重基準問題は別にして、 共産主義国と民主主義国の違いはまさにここにあります。つまり共産党一党独裁の国(共産主義の価値観しか認めない国)と、日本のような言論の自由が保障されている国(多様な価値観が尊重される国)との決定的な違いの一つであります。このことは歴史を通して学んできたことであります。
仮に日本で共産党の政権が誕生したとすれば、言論の自由はどうなるでしょうか。日本共産党の世になれば、やはり共産主義という価値観しか認めない共産党一党独裁の国家になることは間違いありません。なぜなら共産主義が真理であって、共産主義社会の到来は歴史的必然だ、というのが共産党の主張ですから、日本においても共産党一党独裁になるのは必然でありましょう。従って、仮に日本共産党が政権をとれば、中華人民共和国と同じで、多様な価値観は認めらず、言論の自由はないとうことになります。
日本共産党は「日本国憲法の全条項を守る」、「言論の自由を守る」というならば、「共産主義社会の到来は歴史的必然だ」という共産党独自の誤った価値観を、共産党の綱領から一掃しなければなりません。
次に共産党の主張する「敵の出方論」ですが、これも憲法でいう平和主義と矛盾しますね。共産党が権力を奪う時、あるいは奪った権力を維持するために、敵の出方によっては暴力や武力を行使するという考え方です。歴史を見ればすべての共産主義国は自国民に暴力を行使してきました。土地や資本の強制収用、強制収容所送り、強制移住、虐殺、粛清などなど。日本共産党も「敵の出方論」で、共産党に素直に従わないときには基本的人権を踏みにじると言っています。共産党は決して我々のいう平和主義者ではありません。日本国憲法では言論の自由、結社の自由、移動の自由、宗教の自由、財産権など、基本的人権が保障されています。しかし共産党はいざとなれば、これらを踏みにじると「敵の出方論」で主張しています。
今回の選挙で共産党は「平和主義を貫く」と主張しています。しかし共産党のいう「平和主義」とは社会主義社会、共産主義社会建設のことであって、「戦争のない状態」をいうのではないということです。普通私たちが使う「平和」と意味が全く異なります。共産党はこのことをわかった上で国民に対し平和主義を装っているだけであります。もし違うというのであれば、「敵の出方論」を否定し放棄しなければなりません。それができますでしょうか。