この問題についてはもう一人、元共産党幹部の筆坂秀世氏に登場してもらいます。共産党内部に長くいたので、事実と経験に基づいており、説得力があるからです。昨年6月に月刊誌Hanadaでの対談で筆坂氏が登場します。筆坂氏の発言から引用します。「党内民主主義などありません。共産党では横の連携は厳禁で、あるのは縦系列の指揮系統のみです。しかも党内の問題を党外に持ち出してはならず、党内で幹部の悪口を言おうものなら袋叩きにされてしまう」「共産党は民主集中制ですから上から作る党で、下からではありません」と、やはり共産党内は民主主義とは無縁であると述べています。
民主主義と無縁である「民主集中制」を行っているその理由について、筆坂氏は「宮本さんも12年、不破さんも計16年と長いですよね。その理由は、共産党特有の『幹部防衛』という考えにあるんです。党の方針として『幹部政策』を掲げているのは共産 党ぐらいでしょう。幹部さえ防衛すれば党はどんな弾圧を受けても再生できる、と『幹部防衛』を非常に重視し、鍛え抜かれた幹部は20年、30年と委員長を務めても、鍛え抜かれた指導者だからいいんだという考えです。昔の規約にあったように下級は上級に従い、個人を組織の上に置いてはならないという原則は今も変わりません」といっています。このことから共産党は革命政党であり、革命という目的を達成するために組織されたのが共産党であるということがよく分かります。共産党にとって革命(資本主義社会を倒して共産主義社会をつくる)が至上命題であり、そのために「民主集中制」という鉄の結束をはかるための独裁的組織原則が打ち立てられているということであります。
一般の共産党員がこの非民主的組織原則に甘んじているのは、一つには革命達成という目的意識があるからと推測できます。それともう一つの理由について筆坂氏は「専従職員は共産党から給料をもらっており、党に逆らうことは職を失うことを意味するので、上から言われて『これはおかしいな』と思っていても黙っていようとなってしまう」と説明しています。これは本音でしょうね。一般党員にすれば現実はこちらの理由の方が比重は大きいと思いますね。
産経新聞出版の「日本共産党研究」には「中国や旧ソ連を見てもわかるように、『上意下達』『中央集権』『異論排除』という民主集中制は、指導者層の絶対的な権力によって党内の反乱を防ぐためのものであり、明らかに『組織防衛』のための制度なのである。日頃は『少数意見を守れ』と主張し、軍隊主義的な上意下達を批判している共産党こそが最も少数意見をないがしろにし、一部の指導者層を頂点にした強固なピラミッド組織を形成しているのだ」と書かれています。すでに共産党の本当の姿を見破っていますね。産経さんお見事。
しかし残念ですが、世間では共産党は民主主義の旗手という印象操作が成功しているように思います。民進党のように民共連携に御熱心な政党も出てきたりして、極めて残念であります。しかし真実は真実、事実は事実として伝えていかなければなりません。