大阪の都市制度改革の必要性について考える(31)。政令指定都市市長会が提案している「特別自治市」とは。西尾地方制度調査会会長と阿部川崎市市長の質疑(3)。

第30次地方制度調査会、専門小委員会(平成24年2月)

西尾地方制度調査会会長

「3点目に関連した問題に移りたいのですが、現在は全国ベースでは地方交付税制度によって地域間の財政調整をしているわけですけれども、その下で47都道府県はそれぞれ府県内の大都市から上がってくる税収を県内に配分するという財政調整機能を一定程度果たしておられるわけですね。しかし、特別自治市が完全に府県から外れて独自に自分自身が府県機能を持つということになって、税収は全部一元的に徴収すると言われると、残存地域の府県にとってはほとんど財政調整機能を失うことになるわけです。そこを今度は足りないのなら地方交付税で配分しろとおっしゃっているのですが、この仕組みはシミュレーションをしてみなければわかりませんけれども、これを全国的にいろいろなところで始めますと、恐らく地方交付税総額は今よりも増やさなければならなくなるのではないか。ということは、共同税構想も触れられましたけれども、国税の比率を今より高めることになるのではないかという危惧があります。この点はどうでしょうか」。

阿部川崎市市長

「その問題はあるのですが、例えば特別自治市になると県会議員が要らなくなります。県会議員が神奈川県で、政令指定都市で60人おりまして、これにかかる経費が18億円になるわけです。ですから、そういう形で、今、県でかかっている経費を相当減らすことができて、そういったお金は純粋な歳出減という形になりますので、入るものが同じでも、政令市以外のところに投資することができるようになります。それでも金額が足りないということであれば、政令市と県、その他の市町村分については財源調整をなんらかの形で行う必要があると思います。例えば住民税について、あるいは法人関係税についても若干割り振りを変えるとか、そういった工夫も必要になってくる可能性はあると思います。国税だけで調整するのが無理であれば、配分を変えるときに、それを各県内の調整財源にするということはあり得ると思います」。