大阪の都市制度改革の必要性について考える(25)。二重行政はないと言う嘘について。

政令指定都市と都道府県との間の二重行政については、かなり以前から大きな課題として指摘されていました。

『都市問題』1992年4月号に、日本都市センター主任研究員、吉田民雄氏の「政令指定都市の問題点と改革思想」と題する論文があります。この中の、政令指定都市の意義と問題点、という項目の中で、

「現行の大都市特例は各行政分野で関連する事務を一体的に移管するものとなっていない。この結果、福祉行政、環境行政、都市計画行政など多くの分野において府県との間で二重行政を引き起こしている」。「現行の大都市特例の一体性を欠く構造が、結果的に市民ニーズへの適切な対応をさまたげるだけでなく、府県と政令指定都市の間に様々な二重行政、多大の労力と時間を費やす非効率さ等を生み出している」と問題点を指摘しています。政令指定都市と府県との間には多くの分野において二重行政が存在し、労力や時間の浪費、非効率性、税金の無駄遣い、などが解決されるべき大きな課題であるとして、「新しい大都市制度」の必要性について言及しています。この「新しい大都市制度」については、いろいろな考え方があり、それらについての説明もしています。ただし1992年の論文ですから都構想についての言及はもちろんありません。

府県と政令指定都市の間に様々な二重行政があるとの吉田氏の説からすると、『大阪府と大阪市の間に二重行政はない』という主張は、まったく根拠のないデタラメな主張ということになります。。