東京大学法学部教授、金井利之氏。『超高齢社会の自治体政策再編』ー地方自治職員研修 2013.8ー
●衰退社会のなかの高齢化
「要は、日本社会全体が『成長社会』ではなく、『衰退社会』に局面が転換した。・・・数値は冷厳である。少子化は著しく、後期高齢化さらには超高齢化の進行は、厳然たる事実であり、かつ、当然の未来である。超高齢社会のなかで、自治体は既存の政策編成を再構築していく必要がある」。
⚫︎超高齢化問題の深刻化
「・・大都市圏では、地方圏からの人口流入により、必ずしも人口減少が目に見えて起きているわけではない。しかし、少なくとも、高度成長以来、大量に流入してきた世代が高齢化を迎え、いわば、高齢者過密問題を引き起こしつつある。そして、そのロット(絶対数)は、地方圏が直面してきた水準を遥かに凌駕するため、大都市圏での超高齢化は、極めて困難な問題を投げかけている。しかも、日本全体での人口減少が現実のものとなるなかで、大都市圏でも人口(および、非高齢者人口)の減少が見込まれている」。
●超高齢社会では少子化対策こそ自治体の役割
「超高齢社会で重要なのは、高齢者政策と少子化対策とを並行して行うことである。都市問題への対処は、都市政策だけでなく、地方圏政策が必要であるのと同じなのである。こうした政策編成をパッケージとして提示することができて、はじめて、超高齢社会への対処が可能になる」。
⚫︎子ども・子育て政策に向けて
「・・子ども・子育て政策の成否こそが、真の意味での高齢化対策を左右する。・・そして、子ども・子育て政策は、視野狭窄の保育所整備だけに終わるべきでない。子ども・子育ては、出生前から、成人するまでの、全若年世代人口に対しての、24時間1年365日の切れ目なき日常の連続である。こうした政策領域が完全に充填されて、超高齢社会の自治体政策の再編が完了する」。