大阪の都市制度改革の必要性について考える(15)。人口減少社会への提言。

自治体議会改革フォーラム呼びかけ人代表、法政大学法学部教授、廣瀬克哉氏。

ーGovernance February 2016ー

「議会の審議自体が政策転換を準備するエンジンとなり、市民に政策転換の当事者意識を持つ機会を保障していくためには、議会が、議会の中の討論を充実させるだけでなく、議会の討論を聴いている者との間で、距離のないフィードバックとフォローアップの機会を随時設定していくことが効果的だ。人口減少下で自治体に問われている政策転換は待ったなしだ。これにどれだけ有効に答えていけるかが、議会改革の喫緊の課題なのではないか」。

「重要なことのひとつは、人口が減少していない自治体にも課題は、つきつけられているということだ。むしろ、人口が減っていないこと自体が重大な政策課題かも知れない。人口が減らなければほとんどの場合、後期高齢者が激増する。それに対する政策的な備えができていなければ、人口の維持がかえってその自治体に危機的な状況をもたらしかねない」。

廣瀬先生が言われるように、議会が政策転換のエンジンとなって いかなければならないのに、大阪市議会は大阪市役所を再編するのはいやだと主張するのみで、議会での議論は進んでいません。また、学者といわれる一部の人は、“大阪市役所再編”を“大阪市廃止”と意図的に曲解し、まるで役所や地域がなくなるかのような印象付けをするのみで、大阪府と大阪市が直面している政策課題と向き合おうとしない。何か利害関係があるのかと憶測せざるを得ません。これが大阪の現状であります。        

「人は過去の経験から自由になり難いもので、現在発生している諸問題に対して、過去の条件(その自治体の人口増であったり、その自治体は人口減少していても総人口が増加していることであったり)を前提として実現可能だった解決策を思い浮かべがちだ。現状認識や発想を大きく転換していく必要があるのだが、それが進んでいる自治体は多くないのではないか。・・・従来の発想では持続する対策は打てなくなっているのだが、まだまだ従来型の発想は根強いように思われる」。

大阪市、大阪府はそうであってはならないのだが。

「総人口の減少時代に入っても、相対的には恵まれた条件を維持していて、そこでは人口もほぼ現状を維持できている。こういう自治体のほとんどがこれから直面するのは、後期高齢者の爆発的な増加と現役世代の絶対数の減少だ」。

この警告を真摯に受け止めなければならない。