市営地下鉄の民営化を巡って、昨年大阪市の自民党は12項目の要望を突きつけてきました。この要求に吉村市長は地下鉄8号線の建設以外は、ほぼそれを受け入れるとの回答をしました。これを受けて自民党は民営化についての基本方針案に賛成し、維新、自民、公明で可決されました。市長は自民の要望に基づいて、交通基金条例案、交通政策を担う新しい局の設置に関する条例案、BRTの社会実験をするための予算計上など、自民党の要望に応えるための議案を今議会(予算市会)に提出しました。そしてこれと同時に地下鉄の市営としての廃止条例案も提出しました。かかる一連の流れからして当然自民党は賛成するものとマスコミも含めて予測していました。しかるに、自民党は市長が特別区制度について議論するための法定協の設置条例案を議会に提出したことを理由に、政治的判断で、地下鉄民営化に反対する可能性に言及しました。言うなれば約束を反故にするかもしれないと言いだしたわけであります。しかし、地下鉄の民営化と特別区を議論するための法定協設置問題とは全く次元の違う問題であり、これらの問題を政局にすることについては、市民の理解を得られないと判断したのか、今度は地方交付税問題を持ち出し、「地方交付税の継続が確約されなければ賛成できない」(自民党幹事長)とゴールポストをまたもや動かしてきました。どこかの国と同じ手法であります。市は総務省に民営化後も支援継続を求めており、総務省は「民営化後の経営計画を踏まえて適切に判断する」との見解を示していることから、支援を前提とした試算は、基本方針案に組み込まれていました。このことは自民党も十分にわかった上で、基本方針案に賛成しました。ところが今になって、いますぐ国の確約が必要だと言い出したのです。このように自民党がゴールポストを動かす限り民営化はできないということになります。もう目を覚まそう。大阪のために。