「民営化の必要性につきましては、基本方針案の中に網羅させていただいたわけでございますが、ご質問の趣旨にのっとりまして、約1年間初めて公営の交通事業に携わった経験を踏まえて、私自身の考え方についてご説明いたします。交通事業は公営か民営かという経営形態の差によって、できる、できない、可否という問題は、私は理論上ないと考えております。しかし、実際上、結果としてでございますが、これまで我々交通局では、今ご指摘ございました終発延長はしていませんでした。また、運賃も私鉄各社、あるいはJRが初乗りを抑制する中で、どんどん上げてまいりました。増収努力について、きっちりと積極的に行えた、というふうには思えません。こういう実態については、大変驚きを持ったところでございます。しかも、それぞれの項目は、議会から要望を受けていたことを含めてでございます。公営でも理論上できるはずのことが、結果としてできていなかったこと、そして少しずつではございますが、この1年民営化を前提に事業を進めたことで、少しずつ結果が伴い出したこと、これが現実でございます。我々は、対前年度比で総額50億円程度の独自の人件費カットをしながら、一方でサービスがよりよい方向に向き出したことは、今、民営化に向かう必然性のあかしであるというふに考えてございます。交通局は6500名の職員がおりますが、今の流れを確固たるものにしていただき、彼らが局として全体がもとに戻らぬように、マネジメントを行う正念場でございます。公営で改革が進まない理由でございますが、私はやはり公営の組織風土、あるいは意識改革の遅れによるものと実感をいたしております。民営では企業を倒産からまもり、経営拡大を図るという、いわゆる組織命題がございまして、生き残りをかけて安全サービスの維持向上を目指しますが、公営は必ずしもそうした改革インセンティブが強く働かない構造があるというふうに思っております。事業は原則として民営が基本でございまして、逆に公営でやらなければならない事業、特に我々で申し上げますと1号線、いわゆる御堂筋線が引かれた時期、これはまさに民間ではとても無理な事業でございました。民間参入ができない例えば巨大インフラ事業の立ち上げなどでございますが、我々交通局の事業は地下鉄で80年、市電から110年を経過する歴史の中で、そうした時期を、あるいは役割を経て、今に至ったものでございます。経営の合理性を欠くこと、公営のままではそういう合理性を欠くことは、結果が示すところでございまして、我々の公務員の意識を何とか交通事業者の意識にスピード感をもって変化させまして、本市財政、経営そのもの、そこに働く職員のため、そして何より市民、ご利用いただくお客様の為にも、この交通事業をブラッシュアップしてまいるべきであると考えております。1点、民間事業者の欠点といいますか、経済合理性の追求のために、人への優しさを失う危うさを持つことがございます。公営を続けてきた中で、我々は人への優しさを培ってまいりました。次の経営にしっかりと引き継いでいくことも付言させていただきたいと思います。」(平成25年2月第一回定例会)