『「公共の福祉」という概念は、国際人権法のもとでは宗教又は信条の自由を制限できるものではない』(パトリシア・デユバル国際人権弁護士)ー浜田聡YouTubeチャンネルよりー

2025・1・27の参議院議員浜田聡YouTubeチャンネルで、フランスの国際人権弁護士パトリシア・デユバル氏へのインタビューが掲載されていましたので一部を紹介します。

【浜田聡参議院議員】今回の日本における旧統一教会に対する解散命令請求についてお伺いします。

【パトリシア・デユバル弁護士】

私が知る限り、この解散命令請求訴訟は、統一教会に対する32件の訴訟に基づいています。そして文科省はそれに基づいて、統一教会が日本の「公共の福祉」を著しく害したと主張しています。

しかしこの「公共の福祉」という概念は、国際人権法のもとでは宗教又は信条の自由を制限できるものではない、と言わなければなりません。日本は市民的及び政治的権利に関する国際規約を批准しており、それを遵守しなければなりません。そして宗教の自由について定めた第18条では、この権利を制限できる要件は厳格に列挙されており、その中には「公共の福祉」は含まれていません。

なぜなら宗教的信仰の分野における「公共の福祉」というのは、極めて恣意的だからです。「公共の福祉」を理由に特定の宗教的信仰を禁止することはできません。それができないのは「宗教または信条の自由」と呼ばれるものがあるからです。

そして国連の自由権規約人権委員会は、何年にもわたり繰り返し日本に対して「公共の福祉」という概念を、宗教又は信条の自由を制限する為に用いるのを止めるようにという勧告を出しているのです。これは10年以上続いているのですが、いまだに実行されていません。

国連の自由権規約人権委員会は国際規約に対する総評22号を発表し、政府がマイノリティの信仰を保護すべきであると明確に述べています。たとへその信仰が批判されていて、その国の多数派の宗教と一致していなかったとしてもです。政府は中立を保ち、マイノリティの信仰によって「公共の福祉」が妨げられていると主張することはできないのです。

さらに政府が言及している統一教会が敗訴した裁判というのは、「社会規範」に違反したことを根拠に、敗訴したものです。これも国際人権法のもとでは受け入れられません。なぜなら先ほどの総評22がここにも適用されるからです。

つまりマイノリティの信仰を保護したいのであれば、いわゆる「社会規範」「社会的相当性」という概念を用いて、彼らを抑圧したり迫害したり、運動や団体を解散させようとしたりしてはいけないのです。「公共の秩序」を脅かすなどの根拠があれば、制限は可能ですし、他にも制限はあります。しかしそれは本当に脅威がある極端な場合だけに限られるのです。

しかし、「社会規範」や「社会的相当性」は制限の理由にならないのです。申し訳ありませんが、もし日本政府が私を受け入れてくれたら、私はこのことを政府に言うつもりでしたが、今回それは実現しませんでした。

 

 

Comments are closed, but trackbacks and pingbacks are open.