アメリカで何が起きているのか?(15)。欧州は当初「同盟再構築」を掲げたバイデンを歓迎したが、アフガン撤収の混乱で失望感が広がる。

産経新聞(令和3年9月9日)は、欧州で「米国への失望感」が広がっていると報道。

「『永遠の戦争』を終わらせるという愚かな政治的スローガンに従って、アフガンから撤収した」。英国の元首相、トニー・ブレアは8月下旬、バイデンを名指ししないまま痛烈に批判した。アフガン戦争、2003年3月からのイラク戦争で首相として米国を支えたブレアには、国内政治を優先するバイデンが、民主主義を願うアフガン人を「見捨てる」ように見える。・・・欧州は当初、「同盟再構築」を掲げたバイデンを歓迎したが、アフガン撤収の混乱で失望感が広がる。・・・フランスの国際政治学者、ドミニク・モイジは仏紙への寄稿でバイデンが早期撤収に固執したのは来年11月の中間選挙を考えたためだとし、こう主張した。「米国の有権者は時間が経てばカブールの惨事と屈辱を忘れるだろう。だが、米国のライバル、同盟国の双方にとっては違う」と。

また、EPOCH TIMES NEWSは米国の苦悩について次のように解説しています。

アメリカのウオール・ストリート・ジャーナル紙は、米国務省は正確な数を示すことはできないが、少なくとも100人以上の米国人と米国のために働いたことのある数万ものアフガン人が最終期限までに現地から退避できなかったと報道。

彼らが安全に退避できるかどうかが最大の課題となった米国のブリンケン国務長官は8月29日、中国の王毅外相と電話会談行い、この会談でブリンケン氏は、「タリバンにアフガン人と外国人の安全な移動や渡航の自由に関する約束の責任を果たさせるよう国連の安全保障理事会は明確で統一された声明を発すべき」「米国はウイルスの起源についてどこかの国を非難するつもりはない」「米国はこの問題のついて中国側との接触を維持する意思がある」と述べた。

中国の王毅外相は「中国は米国の対中態度に基づいて米国側とどのように関わっていくか検討する」また、2つのリストと超えてはならない3本のラインについて真剣に受け止めるよう米国に求めた。

米国は明らかに国連の安全保障理事会の決議で中共が反対票を投じないことを望んでいる。そのためならばウイルスの起源問題において、いつもの強硬な態度を改めてまでタリバンに退避希望者への安全な通路の提供を求める決議案の通過を確保しようとしている。

このことから導き出される結論は3つ。1つはアフガニスタンに残留する人たちの退避問題に対する米国の関心は人々の想像をはるかに超えているということ。2、アメリカは中国がそれを妨害することを懸念して止むを得ず中共ウイルスの起源問題において中国への圧力を緩めざるを得なくなったこと。3、中国はは明らかにアフガンの状況を利用して米国を脅迫し米国に米中関係において譲歩させようとしている。

100人以上の米国人はタリバンの交渉の切り札となっている。この切り札があれば米国はタリバンに対して強く出られず、ひいては支援をせざるを得ない。サリバン大統領補佐官は「もしタリバンが自由な渡航の確約を実行すれば、米国は引き続きアフガン人民に対して人道的な援助を提供する。将来的には直接タリバンを通じてアフガンに援助を提供する可能性も排除しない」と述べた。一方、タリバンの報道官は「中国は偉大な隣国でありアフガンの復興及び経済発展に積極的な役割を果たすことができる」と。