市営住宅の今後のあり方について答申がありました。-大阪市営住宅研究会-
掲載日 2006年10月18日
今後の市営住宅のあり方について ~市民住宅への再編~ |
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市営住宅ストックの課題
・建替や改善等による更新が必要なストックの存在
・賃貸住宅総数の約1/6を占める市営住宅ストックと地域的集中による偏在
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コミュニティの課題
・団地の急速な高齢化と低所得者の集中等によるコミュニティの沈滞化
・団地内集会所などの共用施設の利用をめぐる地域住民との閉鎖的なコミュニティ
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管理・募集の課題
・応募倍率の大きな偏り
・11回落選特別措置制度による公募戸数の圧迫
・福祉減免措置世帯と非措置世帯との家賃負担の大きな格差
・入居期間の長期化等
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地域のまちづくりへの課題
・地域のまちづくりへの貢献という視点に立った市営住宅の役割の充実
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「市民住宅」
・市民の共有財産として、多くの市民に支持される住宅。
・住民に困窮する世帯に的確に対応するとともに、多様な年齢、所得階層の世帯が住むことができる住宅。
・バランスのとれたコミュニティを有し、地域にも開かれた団地形成をめざす。
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ストックの効率的な活用 |
コミュニティの再生 |
公平・公正な管理の推進 |
地域のまちづくりへの貢献 |
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(1)多様な世帯が住みコミュニティを育む住宅地の形成 |
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高齢者の多い団地を中心に、コミュニティミックスの観点から、中堅層や子育て層の入居を促進(公営住宅のラベルの張り変え) |
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建替え余剰地を活用した民間マンション等の供給 |
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地域福祉や生活利便、コミュニティビジネスのための施設の導入 |
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ふれあいの場の演出によるコミュニティの再生(建替え時に、住民参加によるワークショップ方式による広場、緑地等を計画) |
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(2)良質な住宅ストックの整備 |
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効率的なストックの整備(建替え時において、早期の貸付停止、民間住宅への転居促進のための支援策を創設し、従前居住者世帯数に限定した建替えを実施、管理戸数を縮減し、建替余剰地を地域のまちづくりに有効に活用) |
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建替え等において土地の高度利用をはかり有効に活用 |
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長寿命化に向けた新たな設計の導入(設備等の維持管理と更新が容易となる設計) |
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(3)真の住宅困窮者への支援 |
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住宅困窮制度に基づく入居者選考の導入にあわせ11回落選特別措置制度を廃止 |
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DV被害者や倒産者等の一時的住宅困窮者への対応 |
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随時募集の導入 |
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(4)地域のまちづくりに向けた有効活用 |
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良好な周辺環境や景観の形成に貢献する住宅地計画の推進 |
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建替え余剰地を地域に開かれた生活・福祉・居住関連サービス施設の立地に活用 |
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マンション建替えや密里市街地整備に伴う仮移転住宅としての活用 |
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(5)公正で効率的な管理システムの構築 |
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福祉減免制度の見直し |
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入居承継制度の見直し |
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住戸規模と世帯のミスマッチの解消 |
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公平性確保のための委員会設置 |
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効率的な管理体制の整備(「管理代行制度」の活用) |
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(6)団地再生モデルプロジェクトの実施 |
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「市民住宅」を目に見える形でわかりやすく市民にPR |
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中堅層の入居促進、建替え余剰地を活用したタウンハウスやマンションなどの供給、ふれあいの場の創出による長属的コミュニティの再生、地域のまちづくりに貢献する生活・福祉・居住関連サービス施設の導入など、市民住宅への再編に向けた取り組みを重点的に実施 |
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本研究会は長年にわたって供給管理されてきた市営住宅の今後のあり方について、その現状と課題を踏まえストックの
活用、団地コミュニティ管理など様々な観点から検討を行った。その上で現在の市営住宅を市民保有の財産として、更に住宅に困窮する世帯をはじめ若年・中堅
層など幅広い市民ニュースに対応するとともに、地域のまちづくりへの貢献など、より広い役割を担い、より多くの市民に支持される「市民住宅」へと再編する
ための仕組みづくりについての提案をまとめた。
今後「市民住宅」への再編を着実に進めていくことが重要であるが、そのために留意すべきいくつかの視点がある。
そのため、モデルプロジェクトの早期具体化をはかるとともに、住まい情報センターを活用するなどして、制度のPRをはじめとした様々な情報を幅広く発信す
るなど、市民とのコミュニケーションに努めていく必要がある。
次に、高齢者への生活支援やコミュニティデベロップメント等の充実をはかるため、市営住宅を含む地域全体として、福祉地域振興など関連する施策との連携について、さらに進んだ検討を行う必要がある。
また、厳しい財政のもと効率的な事業の推進が不可欠であり、ストックマネジメントという観点から、建設や維持管
理のコスト縮減、家賃収納率の向上に向けた継続的な取り組みを進めるとともに、事業収支的なチェックを常に行うなど、経営的視点に立った展開をはかる必要
がある。
さらに国との役割負担が不可欠であり、とりわけ多様な世帯の入居によるコミュニティバランスの回復をはかるための制度的枠組みの構築や、住宅困窮者に対して民間住宅等を活用するための制度設計などについて、国への積極的な働きかけが必要である。
大阪市においては、本提案を踏まえて固い決意をもって「市民住宅」の実現に取り組まれることを強く期待するものである。 |
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大阪市営住宅研究会 |
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委員名簿 |
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委員長 >委 員
>委 員
>委 員 |
高田光雄 >大竹文雄
>岡田進一
>弘本由香里 |
京都大学大学院工学研究科教授 >大阪大学社会経済研究所教授
>大阪市立大学大学院助教授
>大阪ガス(株)エネルギー・文化研究所客員研究員 |
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開催状況 |
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第1回 平成17年1月31日開催 |
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・市営住宅の管理について
・市内のストックについて |
第2回 平成17年3月29日開催 |
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・現地視察
・市営住宅団地の現状について |
第3回 平成17年5月9日開催 |
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・今後の市営住宅のあり方について |
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第4回 平成17年6月8日開催 |
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・今後の市営住宅のあり方について |
第5回 平成17年7月6日開催 |
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・今後の市営住宅のあり方について |
第6回 平成17年7月27日開催 |
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・今後の市営住宅のあり方について |
第7回 平成17年8月17日開催 |
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・今後の市営住宅のあり方について |
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