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大内委員
いろいろと問題点はあろうと思いますけれども、高金利の企業債を借りかえることができれば、資本費負担が大きい高速鉄道事業にとって、経営収支の大幅な改善につながりますので、関係機関にしっかりと要望していってもらいたいと思います。
このように、交通事業の経営がなかなか厳しい状況でございます。このような状況に加えて、さらに来年2月にはバスの規制緩和が行われ、他のバス事業者との競争にさらされることになるなど、一段と厳しさが増すものと思われます。これまでならば、このような状況になれば運賃値上げをするなどしていたのでしょうが、現在の社会経済情勢では、とてもそのようなことができる状況ではありません。
それでは何をすればよいのかということを検討するために、このような厳しい事業の状況を想定し、平成9年11月に公営交通事業改革調査委員会が設置され、その報告書が3年3ヶ月の検討を経て、ことしの2月まとめられております。
この公営交通事業改革調査委員会は、平成9年1月の大阪市公営企業審議会の答申の趣旨をもとに設置されたと聞いておりますが、そのもととなっている公営企業審議会の答申では、この改革調査委員会の設置目的についてそのように書かれているのでしょうか、お聞きいたします。
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松尾交通局総務部企画課長 お答えをいたします。
平成9年の1月の公営企業審議会答申におきましては、昨今の規制緩和の流れの中で、バス事業の需給調整規制の撤廃が予定されており、また、地下鉄でもJR東西線が開業するなど、以前にも増して他の事業者との競争に直面することが予想される。このように、市営交通事業はこれまでとは異質な環境にあり、これに対応するためには、今までとは違った視野に立つ抜本的な対策が必要であると指摘されたことを受けまして、従来の枠にとらわれず交通事業の経営改善のための抜本策を総合的、専門的に調査・研究することを目的といたしまして、平成9年11月に、公営交通事業改革調査委員会を設置したものでございます。
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大内委員
この公営企業審議会は、委員の中に報道関係者、それから市民団体などといろんな分野から代表の方が入っておられますので、この審議会の答申は、私はまさに市民の声として見なければならないと思います。この平成9年1月の公営企業審議会の答申も読みましたが、今お答えになったように、いままでとは違った視野に立つ抜本的対策が必要であると書かれております。さらに、その結びのところでは、このことを認識した上で、さらには、これまで積極的に評価してきた市営という経営形態自体の見直しまで含めた検討の必要性が浮かび上がってくると指摘しております。
かかる市民の声を受け、抜本的対策を検討するために、公営交通事業改革調査委員会が設置されて、いろいろ検討してこの報告書ができたわけですけれども、この公営企業審議会が言っているような抜本的な経営改善方策には、この報告書はなっていないのではないかと、このような感想をもっているわけですけれども、交通局はどのように評価しているのでしょうか。
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有馬交通局総務部企画主幹
公営交通事業改革調査委員会の報告書は、先ほど申し上げました大阪市公営企業審議会の答申の趣旨を踏まえまして、さまざまな角度から交通事業の経営改善策の検討を行い、取りまとめられたものでございます。その中で探るべき方策として挙げられておりますが、まずバス事業につきましては、路線をタイプ別に分類して、路線編成、サービス内容、運営方法を検討すること、それから、コスト縮減方策として外部団体を活用した管理の受委託や分社化などの新しい経営手法の検討を行うことなどが、新しい観点からの提言であると考えております。
また、高速鉄道事業におきましては、ヤードステイック方式を修正して算出した基準コストを念頭に置いた運営コストの削減や、一般会計との負担関係の見直し、外部経済効果の軽量化と事業会計への繰り入れなど、それから鉄道整備における一般行政部局との役割分担の明確化、こういったことが本市の一般行政部局との連携も含めた方策として上げられておりますが、こういったことが新しい観点からの提言であると考えております。なお、経営形態につきましては、設計・計画部門とサービス提供部門とを分離する事例を多く見受けることができるということから、より効果的に公共交通サービスを提供していくという視点に立ちまして、サービス供給形態について、調査・研究する必要があるとなっているところでございます。
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大内委員
今後、具体的な方策を策定するに当たっては、この平成9年の公営企業審議会の答申の趣旨に立ち返っていただきたいと、このように思います。この抜本的な対策という言葉を、私は念頭に置きながら、ことし3月の予算市会の議事録を読んでみましたけれども、その中で、バス事業に関しまして管理の委託についての質疑がありました、その中で、運行業務や整備管理業務などを一括して別の会社へ委託し、その管理の委託の相手先は交通局の既存の外部団体の中から選ぶという答弁がなされております。これは大々的な委託ですから、ある意味では抜本的な対策と言えるかもしれません。しかし、京都市交通局は、横大路という営業所の業務を、すでに丸々委託しております。しかも、委託の相手先は、民間バス事業者です。大阪市では、なぜ京都市のように民間に委託しないのか。相手先を外部団体に限定しなければならないと考える理由は何なのか、お答えをお願いいたします。 |
有馬交通局総務部企画主幹
管理の委託についてのお尋ねでございますが、市バス路線を管理するに当たりましては、安全輸送の確保とともに安定的・継続的なサービス提供を確実に行える事業者を選定する必要がございます。本市におきましては、需要調整規制のもとで、これまで市バスがほぼ独占的に運行を行ってまいり、市内部の交通環境やバス路線に精通している民営のバス事業者がいない状況にあるのではないかと考えております。このような状況の中で、管理の委託先につきましては、事業の運営に当たりまして当局との堅密な連携を図ることができ、最終的な責任が本市にあることは明確でありますために、市民・利用者の理解を得やすいという点、また本市交通事業の補完団体といたしまして、交通事業の運営に寄与することを目的に設立されたものでありまして、長年にわたり交通事業に携った経験豊富な当局のOB職員が従事しているという点このような点などから、安全で確実な事業実施が行える当局の外部団体が適当ではないかと考えているところでございます。なお、京都市交通局につきましては、民営事業者に管理委託を行っておりますけれども、これは管理委託が行われている地域におきまして、その民営事業者が従来からも運行を行っておりまして、その地域の実情に精通していたという背景があったと聞いておりまして、本市とは若干異なった状況にあるのではないかと考えております。 |
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大内委員
外郭団体に委託する理由はあるのでしょうけれども、この改革委員会の報告書では、審議会の答申の趣旨が充分に反映されていないのではないかと、こういう印象を、私はぬぐうことができないのでございます。
一般会計との負担関係の見通しとか、外部経済効果の計量化と事業会計への繰り入れというような施策が提案されておりますが、一般会計が逼迫する中で、安易に公費に依存する姿勢などを見ると、危機意識の欠如さえ感じざるを得ないわけでございます。来年2月に実施される乗合バスの規制緩和やそれを受けて改正された道路運送法の趣旨を、どのように理解しているのかと疑問が残るのであります。原点に立ち返り、規制緩和や道路運送法改正の趣旨や目的はどのようなものだと認識しておられるのか、お聞きしたいと思います。
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有馬交通局総務部企画主幹
規制緩和の趣旨についてのお尋ねでございますが、わが国におきましては、金融や情報通信などあらゆる分野におきまして規制緩和が実施されておりまして、乗合バス事業におきましても、委員ご指摘のとおり来年2月の道路運送法の改正法が施行され、需給調整規制が廃止されることとなっているところでございます。規制緩和の目的でございますが、事業者の創意工夫及び市場におけます公正かつ自由な競争を通じまして、よりよいバスサービスが提供されることによりまして、最終的には利用者利便の向上、バス利用の促進を図るというものであると認識いたしております。 |
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大内委員
規制緩和によって自由に競争が起こる状態にして、事業者が創意工夫を凝らしてサービスを行う状況をつくり出し、最終的にバス事業そのものが活性化し、また利用者が便利になるというのが規制緩和の趣旨であります。このような規制緩和の趣旨を十分に認識していただいて、自由競争のメリットを市民・利用者が受け、利用者のプラスになるようにするため、もっと民営の手法を取り入れるべきであると思いますが、どうでしょうか。 |
比嘉交通局長
お答えいたします。ただいまの委員のご指摘は、交通事業全般についてのご指摘かと思いますが、特にバス事業について申し上げますと、来年2月からの需給調整規制の廃止の目的でございますが、これはバス事業の活性化と利用者利便の向上を図ることにあるという改正法の趣旨は、十分に認識いたしておりますが、他面、事業への参入が自由となり競争が促進される一方、退出も自由になりますから、不採算路線からの撤退によって交通空白地帯が発生するのではないか。また、長期的に見まして、輸送サービスの継続性・安定性はどうかという点が懸念されるところでがざいます。しかしながら、市バス事業は今後厳しい経営環境が予想されますから、民営事業者との競争に耐え得る確固たる経営基盤を確立することが重要な課題であるこというふうに認識しておりまして、現在、さらなる効率化や増収対策など新しい経営改善計画の策定に取り組んでいるところでございます。市バスが、将来にわたりまして引き続きその重要な役割を果たし、よりよいサービスを提供してまいりますために経営改善計画の策定や今後の事業運営に当たりましては、委員ご指摘のように民営事業者のさまざまな手法も、大胆かつ積極的に取り入れて努力してまいりたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いします。 |
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大内委員
市民は、安全で適性な料金で利便性で享受できれば、経営形態にはこだわらないというのが、市民の基本的な立場であると、私は思います。公営という形態をどうしても守るというように、最初から自分の手足を縛らないで、柔軟にかつ大胆に改革をなさっていったらいいんじゃないかと思います。私は、積極的に民営の手法を取り入れていただいて、経営の健全化に努めていただきたいと思います。13年度中に策定される施策に期待をいたしております。それでは次に、定期観光バスについての質問をしたいと思います。この定期観光バスの12年度収支、それと、ことしの3月末ウニバーサル・スタジオ・ジャパんがオープンしましたけれども、大阪を訪れる方々がふえていることから、来阪の機会に定期観光バスに乗って市内観光をされる方もおられるのではないかちと思いますけれども、この4月以降の定期観光バスの利用者の動向について、ちょっとお聞きします。よろしくお願いいたします。 |
吉井交通局自動車部企画主幹
お答え致します。当局の定期観光バス事業でございますが、最近お客様のニーズの多様化でございますとか、観光スタイルの変化によりまして、おおむね減少傾向にございました。それで、今年度でございますけれども、先ほど委員がおっしゃいましたようにこの3月31日にユニバーサル・スタジオ・ジャパンがオープンいたしまして、この減少傾向が今年度に入りまして増加の傾向になったのではないかと思っございます。8月末までのお客様の数を比較いたしておりますと、昨年は8月末までで約1万4,000人のお客さんがございましたけれども、ことしは8月までで1万5,500人程度のお客さんということで、約12%の増でございます。それから、昨年度に関しましては、全体の収支としまして1,000万円の赤字ということになってございましたけれども、このお客さまの増からこれに関しましては好転するものと考えてございます。特に、ことしの状況を見てみますと、バスガイドの方からも、ユニバーサル・スタジオの例の袋を持ったお客様が多く乗っておられたり、あしたまたユニバーサル・スタジオに行くとかいうような声もじかに聞いたりしてございますので、このユニバーサル・スタジオのオープンが、我々の定期観光バス事業の利用者増に資したのではないかと、このように考えてございます。 |
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