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掲載日 2004年02月09日

大阪におけるPCB廃棄物の処理について

1.背景

(1)PCB(ポリ塩化ビフェニール)は、難燃性、絶縁性、安定性に優れていることから、工場・事業場などのトランス・コンデンサなどに広く使われた。

(2)PCBやPCBを使用した製品は昭和47年以降製造、輸入が禁止されたものの、PCB廃棄物の処理施設がないため、30年間保管を余儀なくされ、工場・事業場などの大きな負担となっている。

(3)一方、欧米諸国では、これまでに焼却処理、化学処理が進められてきており、それを踏まえてわが国でも平成9年以降化学処理方法が法定されて安全、適性に処理できる技術・基盤ができた。

(4)そのため、国は、平成13年6月にPCB廃棄物処理特別措置法を制定し、併せて環境事業団法を改定し、国の事業実施機関である環境事業団に拠点的施設を設けさせ、自ら地域ブロックごとの広域的処理体制を整備することにした。

(5)大阪市におかれては、このPCB廃棄物の早期処理という課題にいち早く正面から取り組み、昨年6月に事業団の広域処理事業団の受入れを表明された。

 

2.大阪市において行うことを検討しているPCB廃棄物広域的拠点処理

(1)環境事業団の役割
事業主体として処理施設を整備し、かつ処理事業を実施

(2)施設設置場所
大阪市此花区北港白津2丁目

(3)処理対策PCB廃棄物
近畿2府4県(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)に対する、高圧トランス・コンデンサなどのPCB使用電気機器等
*上記以外の近畿圏のPCB廃棄物は、兵庫県で処理を検討

(4)処理施設
化学処理法(具体的には環境事業団が設置した専門家による委員会で決定)による、日量最大4トン(PCB分解量)の施設

(5)施設の安全性
スライド参照:先行している、北九州事業の環境安全施策

(6)施設への運搬・搬入
環境省は、3月1日、PCB廃棄物収集運搬の基本的考え方を示したところ。今後、ガイドラインをとりまとめる予定。事業開始までに全国的な基準強化等が図られる予定  関係自治体と連携・協力して、強化された基準等が遵守されるようにするなど、安全対策に十分配慮



塩化ビフェニル(PCB)廃棄物処理施設の設置計画について
大阪市 環境事業局 規制指導課

近年、地球環境の保全や資源の有効利用が重要な課題となるなかで、国においては、 循環型社会の形成に向けて「循環境型社会形成推進基本法」の制定等関係法令の整備を進めていますが、 一方、「20世紀の負の遺産」ともいうべきPCB廃棄物の処理が喫緊の課題になっております。 そのため、国は、平成13年6月に「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適性な処理の推進に関する特別措置法」を制定するとともに 「環境事業団法」を改正し、環境事業団による処理スキームを構築し、PCB廃棄物の早期適性処理を推進することとしたところです。

こうした状況の中で、環境先進都市を目指す本市としても、平成13年6月に「大阪市におけるPCB廃棄物処理基本計画」を策定し、 PCB廃棄物を使用・保管している中小・零細事業者の負担軽減及び市内のPCB廃棄物の早期適性処理を図るため、 この処理スキームを活用するとともに環境事業団が設置する処理施設の市内立地に協力することとしました。

事業団が大阪市内で計画している事業の概要は、つぎの通りです。

 

1.事業主体

環境事業団がPCB廃棄物処理施設及び運営そ行う。

2.処理施設設置場所

(1)住居表示:此花区北港白津2丁目(準工業地域)
(2)面積規模:約3ヘクタール(隣接する2区画)
(3)所有者:港湾局
(4)特色

3.処理対象地域及び対象物

(1)処理対策地域:2府4県(大阪市、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県)
(2)処理対象物:PCB使用電気機器等

* PCB使用電気機器等以外のPCB廃棄物は、環境事業団が行う兵庫県事業で処理する。

4.処理能力及び稼動日数

(1)能力:最大約4トン/日(平成10年度:旧厚生省データより算出)
(2)稼動日数:300日稼動

5.処理方法

化学処理方法とする。(環境事業団が運営する委員会で決定していく。)

6.処理期間

平成28年3月までに事業完了する。(処理施設の解体撤去を含む。)

・ 当地区には最新・最善の技術を駆使し周辺環境にマッチしたごみ焼却工場やスラッジセンターがあり、これらの施設とPCB処理施設を連携させることによって、当地区を環境教育や環境情報発信の拠点として総合的に活用することができる。
・ PCB廃棄物処理施設の設置場所としては、住宅・病院・学校等から十分距離があること、搬出入車両の影響を極力低減させるため阪神高速道路の出入口に近接することなどが必要であり、当地区はこれらの条件を満たしている。

PCB 
PCB処理施設の建設予定地
奥は建設中の舞洲スラッジセンター

pcb
環境省が全国のブロックごとに建設を計画している有害化学物質のポリ塩化ビフェニール(PCB)の広域処理施設について、 大阪市は30日、08年夏期五輪の会場予定地としていた大阪港の人工島・舞洲の市有地を、近畿2府4県の処理施設用地として提供する方針を固めた。

全国では地元の反対で計画が進まないケースもあり、今後は住民の不安を解消するための十分な説明や対策が課題となる。 大阪市は5月中にも周辺住民への説明会を始める考えだ。

 建設予定地は、市が埋めたてた舞洲(224ヘクタール)の北東部(大阪市此花区北港白津2丁目)の約3ヘクタールの土地で市港湾局の所有。 舞洲には、五輪誘致活動で計画していた8万人収容のスタジアム予定地があるほか、 港湾施設や倉庫、野球場などが立地している。市は昨夏の五輪誘致失敗後、舞洲の開発計画の見直しを進めてきた。

01年にPCB処理特別措置法が成立し、国は全国をいくつかのソーンに分け、 中核施設で複数の都道府県で保管するPCBを処理する方針を打ち出している。

すでに北九州や東京都が臨海部での処理施設の受け入れを正式に決めている。

一方で地元の理解を得ることが難しく、国の打診に難色を示す自治体も出ている。

処理施設は、環境事業団が事業主体となり、廃棄物処理法に基づく生活環境影響評価を経て着工する。
国が認定した化学処理方法を用い、市内保有分を優先的に処理し、16年3月までに2府4県分の処理を終える計画だ。



朝日新聞   2002年5月1日

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