外国人参政権は憲法違反だ。「納税」や「地域への貢 献」を理由に賛成する人がいるが、参政権はこれらとの引き換えにはならない。あくまでも国籍の有無が前提だ。憲法15条1項では参政権は「国民固有の権
利」とある。「固有」とは「だけ」という意味だ。日本国民のみに与えられなければならない。
地方レベルなら与えてもいいとする部分的許容説もあるが、国、地方とも認められ ないのが通説だ。今では日本に初めて部分的許容説を紹介した、中央大学の長尾一紘教授も「地方レベルでも憲法違反」と主張している。東京大学の芦部信義教
授も、憲法93条2項には、地方自治体の首長や議員は「国民」ではなく「住民」が選挙するとあるから、「住民」の中に外国人を入れてもいいと、部分的許容
説を説いたが、平成7年の最高裁判決で完全に否定された。この判決では結論を導き出す「本論」と裁判官個人の意見を付け足す「傍論」が矛盾し、外国人に参
政権を認めることはできないと明言していない。しかし、少なくとも論理的に考えたら、明らかに外国人に参政権を付与できない構造になっている。
つまり、本論の判決では日本国民のみが有する権利(憲法15条1項)を前提と していて、国と地方は分けられないという立場を取り、しかも憲法93条2項の「住民」とは「日本国民」を意味すると述べている。どこにも外国人に参政権を
与えてもいいとする理屈が出る余地はない。ところが、傍論の部分で「永住外国人への地方選挙権付与は禁止されていない」とあるので、これが独り歩きしてし
まった。しかしこの傍論を付けた裁判官も、平成19年には傍論を重視するのは俗論だと否定し、部分許容説の根拠は崩れた。まぎれもなく外国人参政権は憲法
違反だ。
それから、憲法以前の国家の問題としても、外国人に参政権を与えることはできない。国家とは政治的運命共同体だ。戦争になれば国民は運命を共にする。ま
た、国は地方と一体にならねばならない。韓国や中国の憲法には、国防の義務がうたわれている。民団(在日本大韓民国民団)の綱領には、韓国の国是と憲法を
順守するとある。国の運命を彼らに左右されていいのか。(「自由民主」より転載)
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