1)建設補助金 8.6億円
2)多目的ホール購入 16.3億円
3)駐車場購入 35.3億円
4)公共広場ライトアップ施設整備 28.7億円
5)出資金 190.0億円
6)貸し付け金 75.0億円
7)大阪市開発公社貸付金 20.0億円
8)敷金・保証金(関係団体含む) 38.0億円
合計 411.9億円
破綻処理の場合大阪市は上記金額を損失します。
さらに大阪市は銀行に対して
9)損失補償 509億円-(WTCビルの売却代金)を補償しなければならなくなります。
大阪市が購入した場合WTCビルの売却代金がいくらであっても損失補償額と合わせれば大阪市は509億円の負担となります。さらに、維持・メンテナンスの費用と将来ビルの大規模補償費を負担しなければなりません。
専門家による検討結果について
1)再調停とは
・裁判所に調停を申し立て、現行現の調停内容を修正・変更
・債務の再カット
2)手続きの特徴は
・WTCだけではなく、大阪市も当事者として参加することが可能結果、
WTCの負債だけではなく、大阪市の損失補償額も減少することが可能
(ただし、WTCの負担は軽減されても、大阪市の負担は従前通りとの
解決もあり得る)。
交渉次第では、市の負担の抑制が可能となるが、いったん成立している
調停条項を変更することに
ついての、合理的な説明と金融機関の同意が不可欠。
3)留意点については
- 金融機関としても再調停に応じることについては株主等への説明責任を負うので、
債権者の了解が得られない可能性が高い。
- 会社更生等の手続きに比較すれば、手続き自体に不透明性が残る。
と説明されております。
平成16年もし特定調停を行わなかったらどうなっていたでしょうか。 |
(出資金25億円、貸付金200億円、敷金36億円)
- 総額1193億円の事業資金(うち銀行借り入れは996億円です)の大半は金融機関の損失となっていました。特定調停での銀行の債務免除額は137億4500万円でした。
それではなぜ大阪市は特定調停を選択したのでしょうか。市の説明によれば |
- 着実な再建によって、市のまちづくりの推進に寄与し、将来の大阪市政に資すると判断した
WTC、ATCが立地する咲洲コスモスクエア地区は都市再生緊急整備地域に 指定され、国際交易や研究開発などの高度な都市機能の集積を図ることとしており、WTC、ATCがインテックス大阪などの周辺施設との連携を深めながら、
地域の中核施設として公共的役割を担いつつ着実な再建を果たすことが、大阪港の発展、臨海部のまちづくり、ひいては大阪の都市再生に資すると考えた。
- 市政への信用力が低下すると、今後まちづくりに必要な民間金融機関からの資金調達などの調達コストの増加が懸念された。
ということであります。平成16年の特定調停については現平松市長も先の予算委員会で「一定の合理的判断の下に行われたと考えている」と答弁がありましたが、そうであるならば、まず銀行団と率直に話し合う必要があるのではないでしょうか。
- 大阪市は賃料裁判において、従来の主張【注(1) 】を最後まで貫いて、湾岸地域における公的な役割を果たし続けなければなりません。
- 大阪市は入居率の向上のため、全市をあげて取り組まなければなりません。入居率の向上は可能であります。
- 入居率の向上と銀行の一部債権放棄をくみあわせれば、大阪市の必要な支援金は15億~160億円の間になります【注(2)】
- 銀行側の協力が必要になります。特定調停の精神を生かして、会社経営 が成り立つよう再度双方の努力が求められます。銀行としても、公的役割を担う第三セクターに株主として参加したのですから、その公的責任の一端を担うのは
当然でありますが、まず最初に大阪市は銀行団に全力で要請しなければなりません。
【注(3)】
大阪市が平成19年度末までに銀行に支払った利息金額合計は約276億円にもなります。両者が歩み寄ることは不可能ではありません。 |