平成12年3月7日市会本会議場
〜大内けいじ議員の質疑応答〜
 私は、自由民主党大阪市会議員団を代表いたしまして、平成十二年度予算案並びに関連諸案件につきまして、磯村市長に質問させていただきます。本年は二000年と言う歴史の節目にあたり、わが国は国家として経済的にも大きな転換期を迎えています。この時代の変化を生き抜くためには、国・地方の役割分担並びに公・民の役割分担を明確にし、社会全体として、より効果的な新しい制度、政策を構築していく必要があります。国では、戦後の行政システムを二十一世紀に適合した新たな姿に変革するため、中央省庁の再編成が行われようとしています。また、地方分権一活法により、地方分権の推進がいまや、自己負担を必須要件として実行段階に入りつつあるなかで、介護保険制度の導入をはじめとする総合的な地域福祉の展開や、二十一世紀に向けた新たな生活基盤の整備等、地方自治体が果たすべき役割は益々増大しているところであります。しかしながら、現在の地方財政は、公債費の負担が既に警戒ラインを超える地方自治体の割合が七割近くになるなど、非常事態とも言うべき状況となっております。このような環境の中で、磯村市長は、昨年十一月の市長選挙において、市民の圧倒的支持を受け、めでたく再選され、市政二期目のスタートとなる平成十二年度予算編成に取り組まれたところでありますが、景気対策、少子・高齢化、情報化といった山積する市政の諸課題に対し、先人が英知と努力で培って北歴史と伝統を引き継ぎつつ、財政状況が厳しい中で、市民各層の多様で複雑な行政ニーズに応えていくためには,さらなる行財政改革を推進し、市民の期待に十分に対応しうる簡素で効率的、しかも公正・公平な行政システムを確立することが重要であります。特に、将来の大阪を見据え、市民のためになる公正・公平な社会を実現するには、新しい社会システムをつくるとともに、財政の健全化を図り、将来の世代に過重な負担をおわせないようにすることが極めて重要であります。このような観点から、以下、いくつかの問題について質問させていただきます。
 次に行財政改革についてお尋ねいたします。まず、現行の「行財政改革実施計画」終了後の新しい計画においては、社会経済状況の変化に対応し、今日的に行政の果たすべき役割についての基本的な考え方を策定し、これをもとに、市民ニーズの薄れた事務事業や行政として取組む必要のなくなった事務事業などについては、廃止・縮小を図るとともに、思い切った民営化・民間委託を進め、組織機構のついても、従前の部局の枠を取りはずし、重複、類似業務をおこなっている部署を再編するほか、大胆に部局等の再編成を行い、簡素で効率的な業務執行体制とすべきであります。また、区政については、情報化によって最大限の省力化効果を生み出すと共に、システム化に伴う事務の再編成を行うことにより、職員の適正配置もあわせて行い、窓口サービスの総合化をはじめ、きめ細やかな市民サービスの一層の向上に振り向けていくべきであります。さらに、外郭団体については、その統廃合を推進するとともに、目的が明確である場合以外は市職員の出向を引き揚げるなど、その経営改善に努めるべきであり、これらの見直しを行うことにより、特に市長部局等において、職員数の削減を図ることとし、削減にあたっては、明確な数値目標を設定すべきであると考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。
 次に、少子化対策についてお尋ねいたします。少子化の進行に歯止めをかけるためには、子どもを産みたい人が安心して子どもを産み育てることができる環境整備を総合的に進めることが必要であります。そのためには、妊婦に対する健康支援をさらに充実するとともに、特に低年令児の保育を拡充して待機児童の解消を図り、早期保育、夜間保育、休日保育など、多様な保育サービスを充実することご必要であり、明日の大阪を担う子どもたちを社会全体で育成すべきであると考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。
 次に、高年齢者対策についてお尋ねいたします。本年四月から実施される介護保険制度については、長期的に安定したものとして確立していくため、財政的な面からも保険料の徴収確保に努めることはもちろん、効率的・効果的な運営を図ることが、保険者としての本市にとって重要な責務であるとかんがえております。特に市民の方々のサービス利用についての多様な選択肢の確保を図るとともに、介護サービス基盤を確保する面からも、民間事業者の参入促進を図ることは有意義であると考えております。また、当事者間のトラブルについて相談を受付、必要に応じて実態調査や当事者への助言や指導等ができ、保険者である本市や利用者、サービス事業者から独立し、中立的な立場で一定の機能を有する第三者機関の設置が必要であると考えます。一方、七十歳、八十歳になっても元気な高齢者は数多くおられますが,健康な高齢者の生きがいづくりを支援する施策とともに、介護が必要な状態にならないよう予防する施策の充実も重要であります。高齢者が住みなれた地域で生きがいを持って安心して暮らしていけるよう、介護保険事業計画の内容を包含した平成十二年度からの新たな「高齢者保険福祉計画」に基づいて、引き続き高齢者施策の充実に努めていくとのことでありますが、これらの課題を踏まえ、今後高齢者対策をどのように進めていこうと考えておられるのか、市長の御所見をお伺いいたします。また、本核的な高齢社会を迎える中、エレベーターが設置されていない中層の階段室型市営住宅が多く残されていますが、現在、国の方でこのような中層住宅へのエレベーター設置の技術開発が行われていると聞いております。本市においても、こうした技術開発の成果を踏まえ、是非とも早急な整備に着手するべきであると考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。
 次に新しい教育改革についてお尋ねいたします。社会全体がますます多様化し、国際化が進む中で、本市の教育のあり方全体について改めて考える時期が今来ていると考えます。とりわけ、郷土や國を愛する心を育て、我が国の歴史と伝統・文化を大切にし、豊かな国際感覚を持った二十一世紀を担う子供達を社会全体で育成する事が大切であり、開かれた学校づくりを進めていくことが重要であります。中央教育審議会の答申をふまえたこの旅の文部省令改正により「学校評議員」が設置できるとのことですが、教育委員会としてはどのように考えておられるのか御所見をおうかがいいたします。また、子供の社会性や創造性を育んできた遊び場の減少、地域社会での人間関係の希薄化、自然体験等さまざまな体験の不足が、子供達の人間形成に大きな影響を与えており、今後は学校、家庭、地域、あらゆる場において体験を重視した教育を進めるべきであります。さらに、先日出された大阪市教育改革懇話会の提言では、豊かな人間性を育む心の教育や「大阪らしさ」を生かした教育活動などを進めていくことが重要であると示されています。これが、今後どのように本市の教育改革に生かされていくのか、又今後の教育改革の進め方とそれに伴う具体的な施策についても御所見をおうかがいいたします。ところで、学校教育を進めていくうえでも、重要な課題の一つとして幼児期の子育ての問題があると思います。最近の教育をめぐる、いじめや学校の荒れの原因は幼児期にあるとも言われております。このような状況のもと、公立の幼稚園は、各地域の幼児教育や育児相談のセンター的な役割についても、先進的な研究を進め、指導的な立場を発揮する機能に特化すべきであると考えております。子育ての重要な時期を預かる幼児教育のあり方について、教育委員会の御所見をお伺いいたします。
 次に、今後の鉄道整備についてお尋ねいたします。本市における鉄道整備は、これまで平成元年の運輸政策審議会答申第十号を基本として進められてきているところでありますが、答申からかなりの年数が経過した今日、市街地の変化やニーズの多様化・高度化に的確に対応していかなくてはなりません。例えば、此花臨海部においては、現行の運政審答申時においてなかった、二〇〇八年オリンピック開催計画やUSJなどの集客産業の建設が進展してきておりますが、いまだに鉄道に関しては不便な地域となっております。そこで、現在國が進めている都市鉄道調査の対象路線である中之島新線は、運政審答申では天満橋から玉江橋までとなっていますが、さらに中央卸売市場、西九条を経由して此花臨海部方面へ延伸する路線を検討してはどうかと思います。二十一世紀に向け、さらなる本市の発展を考えた、利用しやすい便利な鉄道整備が望まれますが、市長の御所見をお伺いいたします。
 以上、責任与党としての立場から、将来の大阪を見据え、市民のためになる公正・公平な社会を実現すべく、市政各般にわたって質問をしてまいりました。磯村市長の明確な答弁をお願い申し上げ、詳細は各常任委員会にゆだねることとし、自由民主党大阪市会議員団を代表いたしましての私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。