平成11年度決算委員会(平成12年11月開催)
〜大内けいじ議員の質疑応答〜
    
USJ事業の意義と此花西部臨海地域開発について
大内議員
 
アメリカ映画のテーマパーク「ユニバーサル・スタジオジャパン」USJの開業までいよいよあと約四ヶ月後にせまってきた。このUSJは市民に楽しさと夢を与え、国際集客都市を目指す大阪市にとっては中核施設となるもので、全国各地から、あるいは近隣諸国から多くの観光客が訪れ、また、此花西部臨海地区の再開発が進んだ場合、大阪市内においては毎年約8,000億円もの経済波及効果があり、雇用創出効果も開業後、約77,000人にも及ぶと試算されており、大阪市民はもちろん関西経済界が寄せる期待も非常に大きいものがある。先般議論した大阪ドーム、クリスタ長堀の経営問題についても、抜本的には、大阪が国際集客都市として、賑わい、活性化することにより好転することがきたいされ、そのためにもUSJ事業が成功し、内外から多くの人たちが大阪を訪れるようになることが重要である。一方、私の地元である此花区にとっては、USJの開業によって、地域経済の活性化にも寄与し、喜ばしい点もある反面、自動車交通が集中することにより管線道路である桜島守口線の現状でも市内平均を上回る窒素酸化物等による大気汚染状況をさらに押し上げることが懸念されるなど、何点か心配なこともある。来春の開業を控え、本決算委員会が最後の機会であると思うので、USJと周辺整備事業を点検し、その対策について直ちに対応してもらいたいと考えているところである。USJについては、此花西部臨海地域再開発の中核都市として、誘致の段階から今日まで大阪市が主導して事業を推進しているわけであるが、まずはじめに、USJじぎょうの意義について冒頭申し上げた以外に、USJを中心とした此花西部臨海地域開発について、どうかんがえているのかうかがいたい。
港湾局経営課
 
ユニバーサル・スタジオ事業を中核とした此花西部臨海地域開発の意義については、委員指摘の経済波及効果以外に、
1.USJの周辺にホテルやショッピング街、新しいビジネスオフィスなどの立地が促進され、ウォーターフロントの恵ま れた立地を生かした「住・職・遊」の近接した未来志向型の街作りがすすむこと

2. マルチメデイアなど最先端の映像・音響や情報・通信、コンピューター技術など、中小企業が占める大阪のよう  な大都会に適した都市型産業の育成が図られ、それに関連した雇用機会も増えること

3.国内はもとより、近隣諸国からも大阪を訪れる人が増え、国際集客都市として分化・情報の相互交流による国際色豊かな新しい分化が創造される拠点ができることといった点があげられるのではないかと思う。

  
USJ建設工事の進捗状況等
大内議員
 
来年春の開業まであと四ヶ月と迫ってきて、建設工事も最終段階に入っていると思われる。最近、USJのスポンサー企業が開業前の特別招待というようなキャンペーンを張っているのを目にするが、そのムードもだんだん盛り上がってきたように思う。パーク建設工事の進捗率、スケジュール等、開業に向けた準備状況について聞きたい。
港湾局経営課
 
建設工事の進捗状況及び今後のスケジュールについては、USJを構成する18のアトラクション施設、45の物販・飲食施設の建設は、順調に進み、10月末現在の進捗率は約90%とほぼ予定どうり進捗しており、年内には概ね完成の予定
今後、設備機器の据付、試運転、トレーニングを経て、3月からは、地元関係者、スポンサー企業等を対象とした試運転期間を経て、遅くとも4月中旬ごろまでには正式オープンする予定である。USJの運営を担う社員等の採用・登録も予定どうり終え、開業後は約2,000〜2,500名のパート・アルバイトの方でパークの運営にあたることとなる。入場料金は、入場者の条件や目的に広く適応する料金体系が組まれているが、入園とすべてのアトラクションが利用できるスタジオパスの場合、大人5,500円、子供3,700円、65歳以上高齢者4,800円となっている。また、来場者の主要な導線になるJR新駅のユニバーサルシテイ駅からUSJのゲートへのまちづくりについては、3月20日前後には歩行者専用通路とともに飲食・物販の商業施設を開業させることとしている。
  
追加アトラクションへの対応
大内議員
 
今、入場料金の話があったが、JRでは「みどりの窓口」で入場料券を発売し、USJ窓口で引きかえる必要なくそのままゲートを通ることができるようにすることを検討したり、系列の旅行会社で乗車券・宿泊・USJ入場券をセットにしたような旅行商品を開発するとのことである。後ほど触れるが、来場者をできるだけJRに振り分け、此花区内の道路交通負荷を抑制するためにもいろいろ工夫をしてもらいたいと思う。さて、現在国内には様々なテーマパークがあるが、運営がなかなか当初計画通りいかず、東京デイズニーランドを除いて苦を強いられているという状況があり、中には四国のレオマワールドのように休園に追いこまれたところもある。USJについても開業当初は相当の入場者を集客すると考えられるが、それを如何に維持拡大させていくかという点が、大きな課題である全国のテーマパークが淘汰されていく中で、成功の鍵をにぎるのはリピーターを確保するための方策であり、その方策の一つはアトラクションを追加整備し、その充実を図ることではないかと思う。東京デイズニーランドの例でも昭和58年四月開演以来、次々とアトラクションやイベントを追加し、当初年間約1,000万人の入場者が現在では1,700万人近くになったと聞いている。USI効果が線香花火のようにならずに、将来にわたって人気を持続し、USJのある町・大阪を、国内はもちろん、広くアジア、世界にアピールし、オリンピック招致にも繋げていく必要があると思う。そのためには、大阪のUSJがいつまでも夢のある、楽しさを提供できる施設であり続ける必要があり、高いリピーター率を確保するための追加アトラクションの整備が不可欠と考えるが、USJ会社はその点に関して資金計画を含めてどのような計画を持っているのか。また大阪市はどのような姿勢で臨むのか。
港湾局経営課
 
USJ会社においてはリピータ−確保のための方策の1つとして追加男トラクションを整備することにより、さらに来場者の維持拡大を図ることとしており、開業後も追加投資を行い、強力な集客力を確保できるようなアトラクションを2年ごとに1つづつ、合計5つのアトラクションを整備することとしている。またそのために必要な用地については、すでに現在のパーク敷地内に確保している。追加アトラクション建設のために資金については、多額の資金が必要となると考えられるが、会社の営業努力により資金の確保を図り、建設資金に当てることは当然である。
 
しかしながら、国政集客都市を目指し、USJプロジェクトを先導する立場にある本市としても、USJが本市における重要な集客施設であることに鑑み、テーマパークの成否を左右するこの追加アトラクション建設についても必要なことであると考えており、開業後のUSJ会社の経営状況等注視しながら検討してまいりたい。
大内議員
 
委員長、ここでちょっと此花西部地区の参考図面(地図)を各委員にご覧頂きたいと思いますので、配布させて頂いてよろしいでしょうか。この地図に櫻島・守口線があります。この道路は湾岸線を除くとUSJへの唯一のアクセス道路となります。ここにある環境影響評価準備書の環境保全上の見地からの知事の意見のなかで「しかしながら、事業計画地の大阪市此花区は、幹線道路沿道を中心として大気汚染や道路交通騒音の影響が大きく、二酸化窒素、騒音等の環境基準が達成されていない地域が少なくない。」と指摘されております。また大阪市の環境白書によれば、北港通りの環境基準はどの指標をとってもしない平均よりも高い数値であることを強く指摘しておきます。(表1,2,3)このような状況を踏まえて、今後予測される環境への負荷をいかに軽減するかという観点から、以下の質問をしたいと思います。USJの年間800万人の来場者は、その半分が、JR桜島線ユニバーサルシティ新駅を利用し、他に乗合バス等もあるが、残りの半分に近い人達がマイカーや観光バスで来られると見込まれております。USJでは、年末年始等の特異日にも対応できるよう、約4000台収容の駐車場と整備中と聞いている。こにょうな大規模駐車場は入り口で混んで、公道の交通へ支障を与えることも多い。立派な駐車場をつくっても、入り口がネックとなって数珠つなぎとなってしまうケースがあるが、どのような対策を考えているのか。先日発足した「ユニバーサルシティ道路交通対策連絡会議会」で広域的な情報提供や渋滞対策がとられることになったことに、大きな期待を寄せています。しかし、今の前評判では、開業当初の初めてのゴールデンウィークには、車でたくさん来て大混乱するのではないかと、地元では憂慮する声もあります。駐車場台数が不足かどうかという論争があるとの新聞報道もありました。万が一のためにも舞州の港湾局の土地や、周辺の開発前の空地も含めて駐車場にできるよう、万全の対策を予め準備しておくべきです。このような対策にやり過ぎということはないと考えますが、どうか。
港湾局計画課
 
駐車場入口から車が道路にあふれないよう、入口から料金所までの間に車両が滞留できるスペースを敷地内に約170台分確保するとともに、料金所は8ブースを設けて、入手による手早い徴収により、十分な処理能力を持つようにし、周辺交通に悪影響がでないよう配慮しております。USJ来場客輸送の要となりますJR桜島線については、環状線大阪方面からの直通運行や、西九条駅との間の列車増結・増便等、USJ開業に向けた輸送力増強計画が先般JR西日本から発表されました。最大の交通対策としましては、これら公共交通機関の利便性を広く広報案内し、マイカー制御を図ることが基本であると考えています。また、この10月には、道路管理者、大阪府警本部、関係局及びUSJ会社からなるユニバーサルシティ道路交通関係者の協力体制の中で、広域的な渋滞等の情報提供も教化致して参ります。これらによりまして、本駐車場の約4000台収容能力で不足することは、通常まずないと考えております。しかしながら、委員ご指摘のとり、開幕当初の非常事態の場合の備えとして、USJ周辺の未利用用地や舞州における空地等も活用した臨時駐車場対策を準備しておくことを検討しております。パーク南側や西側の一部空地、そして新駅も東の部分、更には、舞州方面等を含めまして、関係する地権者や事業者等の協力により、万全の体制で来春のUSJオープンに臨めるよう、今後関係者間の調整を図って参ります。
大内議員
 
USJ来場車両が、此花区の生活幹線であり、産業交通の量も多い桜島守口線を通行することは、交通混雑に拍車をかけます。阪神高速湾岸線ルート誘導へ、十分は広報周知体制をとるべきです。特に観光バスなどは、海遊館やベイエリアの集客施設との間の往来も多く予想されます。USJとバス事業者や旅行業者との調整の中で桜島守口線を会費して高速道路の湾岸線を通行するよう指導すべきであると考えますが、どうか。また、JR桜島線以外に臨海部の立地特性を生かした海上アクセスの活用も、ベイエリア施設間の車減らしにつながる上、海上から港湾施設をながめながら観光気分も味わえる等メリットも大きい。海上アクセスが整備されますと、多様なアクセスルートも確保されベイエリアの拠点間の回遊性向上も図れると考えています。これについて、港湾局として、施設面の整備と合わせて、どのように推進しているのか聞きたい。
港湾局計画課
 
自動車が阪神高速湾岸線を経由して、来春のUSJ開業にあわせて整備中の島屋第2出路をメインルートに来場することは桜島守口線等地域の生活平面道路の渋滞を招かないために重要なことであると考えています。特にユニバーサル・スタジオ・ジャパンへ来場する団体客等観光バス車両については、ごく近距離の便以外は、阪神高速道路を利用していただくよう、事業者USJを通じてバス事業者や旅行会社等の間で一部調整には入っておりますが、これを強く要請して参ります。海上アクセスの整備はUSJへの多様なアプローチ手段が選択でき、道路交通対策にも資するという面からも、良い方策です。パーク入口近くの安治川に公共浮き桟橋を設置して、USJへ来場する小型旅客船の発着基地とします。多くの船会社から、対岸の海遊館にある築港やコスモスクエアやフェリーターミナルのある咲州、さらには神戸や高松方面等を結ぶ運行計画を頂いているところであり、関係機関とも十分協議しながら、安全で快適な海上ルートの充実を積極的に図ってまいります。
大内議員
 
私の地元の此花区民にとって、日常生活への影響が一番の関心事である。桜島守口線への交通の集中を避けるため、観光バスの阪神高速湾岸線への誘導や海上アクセスについて、是非進めてほしい。特に地元への影響を考えると、自動車での来場者に対しては、高速道路を中心とした案内・情報提供になると思う。高速道路からわかりやすく誘導を行うためには、先ほど説明のあった、USJの最寄りランプとして整備中の島屋第2出路は名前が非常に分かりにくい。USJへの来場者を適切かつ効率的にこの出路に誘導するためには、このランプの名前をUSJにちなんだものにするべきだ。USJのPRにもつながると考えるがいかがなものか。
計画調整局都市計画課
 
島屋第2出路は、USJが来春開業するまでに供用開始の予定あります。島屋第2出路は仮称で、今後供用開始に向けて、阪神高速道路公団において、正式名称が決定される予定であります。ランプ名称の一般的な選定基準は、一般利用者に分かりやすく、他の施設などと混同をきたさないよう、ランプ等の所在地の地名から命名することを原則としています。島屋第2出路では委員ご指摘のように、USJへの最寄りランプとして非常に分かりにくく、また近接して島屋出路もあり混同する可能性が高いことからUSJへ分かりやすい誘導ができるような名称とするよう、阪神高速道路公団に申し入れを行って行きたいと考えております。
暫定入路についての要望
大内議員
 
色々と打つ手は打っているように思えるが、特に、USJの営業時間が終了した時には、一時に車が阪神高速湾岸線方面への島屋入路に集中し、桜島守口線に車があふれ、一般交通が利用できなくなることも予想される。ここで、私見ではあるが、ひとつ提案させて頂きたい。USJの北側の阪神高速淀川左岸線では東行きの島屋出路がすでに供用されているが、西行きは本線の構造物がすでに完成しているものの、本線全体が未整備であるため未供用となっている。少しでも交通混雑の解消になるのであれば、本線供用までの間、完成している構造物を有効活用し、暫定的に湾岸線方面の入路ができないものか。法的、物理的、また費用の面で多々課題はあろうが、大阪市の目指す国際集客都市を実現するうえで、USJの失敗は許されない。要望として、是非とも暫定入路の整備について、真剣に考え頂きたい。