今、注目の共産主義について考える(118)。共産党独裁について考える。石平氏、新疆自治区は「青空監獄」

8月23日の産経新聞『石平のChina Watch』は『新疆自治区は青空監獄』との見出しで、「今月、スイスのジュネーブで開かれた国連人種差別撤廃委員会で『100万人以上のウイグル人が中国で拘束されているという情報がある』との指摘があり、世界の人々を驚愕させた」との書き出しで始まります。そして「今の新疆自治区では、そこに住む人たち、特にウイグル人たちは、日常的に監視されたり検問されたりして、基本的な人権が恣意的に蹂躙され、人間としての尊厳と自由を奪われている。ウイグル人たちの独立運動を力ずくで押さえ付けるために、中国政府は今、新疆自治区全体をまさに青空監獄にしてしまったのである」と記述しています。私たちが想像できていない“現実”があること伝えています。

ウイグル人の問題については、今年5月、ロイター通信もその“現実“を世界に情報発信しています。

「中国北西部の新疆自治区に暮らすムスリム主体の少数民族ウイグル族にとって、逃げ隠れできる場所はどこにもない。監視対象の個人が自宅や職場から300メートル以上離れると、顔認識ソフトが自動的に当局に通報すると言われている。住民が個人の追跡を可能にするスマートフォン用アプリをダウンロードしないままだと逮捕される可能性があると、ソーシャルメディアの利用者は指摘する。海外旅行をしたいと願うだけでも、逮捕の原因になる可能性があり、中国政府は出国者の家族を拘束し、強制送還を求めて政治的な圧力をかけたりもする。いわゆる『再教育キャンプ』に収容されたウイグル族は、過去2年間で少なくとも12万人に達すると、米政府系のラジオ・フリー・アジアは推計する。最大100万人に上るとの報告もあり、米議員グループは先月、少数民族を対象とする最大規模の拘束だと表現している。・・・・実際には同自治区はむしろ、こうした抑圧手法の意図的な実験場にされているように見受けられる。人権問題の専門家から懸念の声が上がっているように、いずれ、他の国内地域や、それ以上の範囲におけるモデルになりかねない。習近平国家主席が権力を握って以来、世界で最も人口の多い中国における抑圧的な政策が顕著に強まっている」。

Newsweek日本語版は昨年8月に『さまようウイグル人の悲劇』と題して報道しています。

「中国共産党が一帯一路を武器に国外のウイグル人を強制帰国。しかし彼らの故郷は既に同化のために破壊されている」。「13年に習近平国家主席が新シルクロード経済圏構想、一帯一路を提唱して以来、中国から中央ユーラシアに抜ける交通の要所に位置する新疆ウイグル自治区では、ウイグル人に対して手段を選ばぬ漢人への同化政策が強行されている」。「中国政府は、新疆の地で漢人に同化するか、家と土地を明け渡して中国のどこかで底辺労働者になるかの二択をウイグル人に突きつけたのである」。「ウイグル人居住区の取りつぶしは、コミュニティーや人間関係の破壊に止まらず、人々の信頼と相互扶助も喪失させた。さらに中国共産党はここ数ヶ月のうちに、国外亡命をこれ以上させないようウイグル人のパスポートを没収し、彼らが所持する携帯電話やパソコンにスパイウエアをインストール。怪しい動きをしないよう、個々を見張る監視システムを新疆全域で着々と構築しつつある」。「さまよえるウイグル人の安住の地は、故郷にも国外にもない」。

私たちには想像さえ及ばない“現実“があることが報道されています。これが共産党独裁政治の現実でもあります。しかし不思議なことに、日本の人権派と言われる新聞やテレビは、だんまりを決め込んでいます。日本の大手マスコミ(産経新聞は除く)は共産党の常套手段である「世論操作」や「世論工作」に意図的に加担しているのでしょうか。

今、注目の共産主義について考える(117)。共産党独裁について考える。習近平国家主席「米軍に比肩する、世界一流の軍隊を今世紀半ばまでに建設する」。

米国防総省の年次報告(平成30年8月16日発表)によると、中国は外洋作戦能力を強化し、2020年には海兵隊を現在の3倍にするという。

「米国防総省は16日、中国の軍事動向に関する年次報告書を発表した。敵前上陸などを担う陸戦隊(海兵隊)について、現状の約1万人規模(2個旅団)を2020年までに3万人以上(7個旅団)まで拡大させるとの見方を示した。陸戦隊には新たに遠征作戦などの任務も付与されるとしており、台湾の軍事的統一や尖閣諸島の占拠などを視野に兵力を拡大させている可能性がある」。

「米軍に比肩する世界一流の軍隊を今世紀半ばまでに建設する目標を掲げ、世界の海域を舞台にした覇権争いも視野に入れている」。

「陸戦隊は本来、台湾海峡有事や東・南シナ海など近海での紛争を想定した部隊だが、中国が広域経済圏構想、一帯一路をテコに海外権益を拡大させる中、海上輸送路の確保など、外洋での作戦能力向上が急務となっている」。

「また、中国海軍が軍事プレズンス拡大に向けて最も力を入れているのは、空母打撃群の構築。国産空母だけでなく、排水量1万トン超の大型駆逐艦も急ピッチで建造を進めている」。

と、産経新聞は米国防総省年次報告書の概要を紹介しています。

今も軍事大国であり、さらに今世紀半ばには米国に比肩する軍事力を保持しようとしている中国。台湾の軍事的統一や尖閣諸島の占拠まで視野に入れているという。しかし、このような中国の軍事力増強にはまったく、ものを言わない日本の新聞(産経は除く)やテレビ。米軍や自衛隊については大騒ぎするのに、中国の軍国主義に関してはだんまりを決め込んでいます。中国の人権侵害問題につてもだんまりです。この異常さは何なんだろうか。背後で共産主義という思想を通じて、中国共産党と繋がっているかのようで、恐怖を感じます。